富士フイルムがオリジナルマウントのDSLRを開発?

 ネット上で、FUJIFILM(富士フイルム)がオリジナルマウントを持つDSLRを開発中であるとの情報を見た。富士フイルムは2000年には販売を開始したFinePix S1 Pro以降、S5 Pro(Nikon D200ベース、2009年9月最最終出荷)までニコンのSLRをベースにしたDSLRを製造・販売していたが、いずれもニコンのSLRをがベースで当然レンズマウントは「F」、つまり、膨大なニコンのレンズ資産を利用することを前提にしたDSLRであったわけである。

 そんなフジフイルムに、どうしてオリジナルマウントの噂が出て来るのか郷秋<Gauche>には理解できない。オリジナルレンズマウントを規格化するということは、フィッシュアイから超望遠まで、少なくとも2~30本以上のレンズを自製しなければならないことを意味している。郷秋<Gauche>はフジフイルムの技術レベル十分以上に評価しているつもりだが、オリジナルマウントとは余りにも無謀である。

 カメラメーカーにとっての新しいレンズマウントの規格化は、自動車メーカーで云えば新しいシャーシやエンジンを造るようなものだが、自動車メーカーよりも規模の小さいカメラメーカーにとっては大事。大卒の社員が定年までに一度経験するかどうかと云う一大事なのである。

 現在SLRを生産しているメーカーは、ニコン、キヤノン、ペンタックス、ソニー、オリンパス、パナソニクの6社のみである(7社目にシグマがあるが、マーケットシェアがほぼゼロに等しいことから、以下、シグマを除き論じる)。この中で最も新しくSLRに参入したのはパナソニックであるが、パナソニックは自社で規格化したマウントではなく、オリンパスと共に策定したフォーサーズマウントを使用している。

 パナソニックの次に新しいのはソニーであるが、こちらはご存じの通りミノルタ(移管時にはコニカミノルタ)のカメラ事業を引き継いでのSLR参入したもので、既にミノルタが規格化したマウントとレンズ資産を引き継いでいる。そなると、最も新しく全く新しいマウント規格をもってSLRに参入したのはオリンパス(OM-1、当初はM-1)と云うことになる。それとて今から37年前の1973年のことである。

 なお、上記以前からSLRを生産・販売しているキヤノン、ミノルタ、ペンタックス(当初はオリジナルマウントではなく、汎用性の高いM42マウント)、もAF化の時点でマウントを変更している。オリンパスもDSLRで再参入に当たってはフォーサーズマウントに変更している。SLR創生期以来半世紀以上にわたってオリジナルのマウント規格を踏襲しているのはニコンのみである。

 前置きが長くなったが、噂に挙がっているフジフイルムのオリジナルマウントはありえないと郷秋<Gauche>は断言する。フジフイルムの技術者としては是が非でも挑戦してみたいテーマではあろうが、ペイしない事業を経営陣が許可するとはとても考えられない。郷秋<Gauche>としても、フジフイルムにはニコンのレンズ資産を使用することを前提に、オリジナリティ溢れるDSLR創りを目指してもらいたいと思うものである


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、季節の花、秋明菊(しゅうめいぎく)。中国原産で古い時代に日本に入ってきているようです。「菊」の名が付されていますが、日本古来の菊とは違いキンポウゲ科です。
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