韓国GP開幕

 コースやその他の施設が完成しないのではないかと心配されていた韓国GPだが、どうやらコースなどレース開催に最低限必要なものは完成に漕ぎ着けたようで、当初の予定通りのフリー走行が始まったようである。観戦のためのスタンドや観戦客のためのホスピタリティ施設が出来上がっているのかどうかは不明だが、一説によるとチケットの販売が超低迷していると云うことなので、スタンドが出来ていなくても問題ないのかも知れない。

 ご存知の通り、日本でF1GPが初めて開催さたのは1987年である(それ以前に開催された2回は「エキシビジョン」)。初めての日本GP開催から遅れること22年にして開催にたどりついた韓国GPであるが、乗用車の全世界マーケットに占める韓国の地位はゆるぎないものとなりつつあるとは云え、ことモータースポーツに関しては1987年当時の日本と比べても大きく遅れているように思えてならない。

 1987年当時、F1最強と云われたエンジンはホンダV6ターボであった。そし日本人F1パイロット、中嶋悟がいた。乞われればいつでもタイヤを供給できるBSがいたし、更に十数年前、日本のモータリゼーションの最初期、ようやくクルマがごく普通のサラリーマンの現実的な「夢」になろうかと云う、そんな時代にホンダは既にF1の世界に打って出ている。そんな「F1前史」を持たない韓国にとっては、22年と云う初開催の時期の差以上にモータースポーツ認知の点では日本に大きく後れを取っているようである。その現れの一つが「売れていないチケット」と云ってよいだろう。

 しかし、40年前の日本を思い出させる、勢いのある韓国のことである。今はようやく緒に就いたモータースポーツだが、これから3年後、5年後、10年後に日本が逆転されていない保証はどこにもない。ただ、その起爆剤としての、韓国製エンジン、韓国製タイヤ、韓国人ドライバー不在なのが先行きに暗雲が立ち込めているかに見える大きな要因である。これを一つ一つ解決し、韓国が日本のモータースポーツにとって切磋琢磨出来る良きライバルとなることを願ってやまない郷秋<Gauche>である。

 さて、その韓国GPの初日に行われたフリープラクティスを、我れらが小林可夢偉はメルセデスGPのマシンを駆るニコ・ロズベルグの後ろ、同僚ニック・ハイドフェルドの前の10番手で終えている。可夢偉より前にいるのはレッドブル、フェラーリ、マクラーレン、ルノー、メルセデスのみ。ザウバー=フェラーリC29のポテンシャルを考えれば望み得る最良の結果と云えるだろう。

 誰も走ったことのない初めてのコースである。となればより優秀なマシン、経験豊富なドライバーが有利となるのが常だが、その中で実力ある同僚を抑えての10位は大いに賞賛されるべき結果である。とは云え、レースは結果がすべて。明日の予選で一つでも前のグリッドを獲得し、日曜日には是非ともポイント圏内でのフィニッシュをして欲しいものである。


 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、昨日に続いて「苦しいときの猫頼み」の一枚、恩田の森の猫です。なかなか凛々しい顔をしているとお思いにはなりませんか?
コメント ( 0 ) | Trackback (  )