JAL、エンブラエル170を導入

 JALが2008年度から小型ジェット旅客機エンブラエル170(78席)を導入するらしい。時事通信とロイターが配信する情報を総合すると次のような内容である。

 「JALは2009年度の羽田空港拡張に伴う発着枠拡大に備え、新小型機導入により各路線の需要規模に応じた機材サイズの適正化を促進し、効率的な事業運営の展開を図るためにブラジルのエンブラエル社が製造する小型ジェット旅客機、エンブラエル170を2008年から国内線に導入する」

 ヒコーキ、取り分け旅客機に特段の興味を持たない方にはこのエンブラエル社は馴染みが薄いことと思うが、実はヨーロッパのエアバス(A340、A300など)アメリカ合衆国のボーイング(747-ジャンボ、777、737など)、カナダのボンバルディア(CRJ200など)についで世界で第4位のシェアを有する旅客機メーカーなのである。

 ただし、エアバス社、ボーイング社が座席数200席以上の中・大型機を得意とするのに対して、ボンバルディアとエンブラエルは30-100席ともっぱら小型機を製造するメーカーである(エアバス社は107席のA318、ボーイング社は124席の717-200が最小。また132-189席の737はベストセラー)。

 2008年にJALが導入するエンブラエル170など50-90席程度のジェット旅客機はリージョナルジェットと呼ばれ、大都市と地方都市あるいは地方都市同士を結ぶ、地域間の旅客輸送に使われる。これまで国内ではボンバルディアのCRJ200が唯一の機種だったが、ここにエンブラエル170が投入されることになるわけである。

 リージョナルジェットの多くは、機体の後部に2機のエンジンを備えるが、エンブラエル170は主翼の左右に1基ずつエンジンをぶら下げる、現代の多くの中・大型機と同様の形状である。現在ANAとJALの双方でローカル線の主力として活躍する737も同形状であるが、737は一番小さい600型の132席から900型の189席までとエンブラエル170の倍以上の席数を持っている。

 さて、JALはグループ会社のジェイエアによりエンブラエル170を運航する計画のようであるが、ジェイエアは既に50席のボンバルディアCRJ200を運行しており、ボンバルディアは70席のCRJ700をラインナップしている。普通に考えれば、運行乗務員のライセンスやメインテナンスのことを考えCRJ700を導入することになるのではないかと思うが、なぜにエンブラエルなのか。実に不可思議である。

 不可思議ではあるが、国内のローカル線用機材がANA、JAL共に737に、中型機が787に集約されようとしているいま、まったくの新顔、エンブラエルが日本の空に登場するのは、旅客機ファンとしては嬉しいことではある。エンブラエル170運行開始の暁には、郷秋<Gauche>としてはCRJ200に乗りに行ったのと同様、エンブラエルにも乗ってみないとならないな。


 今日の1枚は、いつもながら記事本体とは何の関係もない写真。湯河原梅林、紅梅にメジロの図。
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