アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

お熱いのがお好き

2009-11-25 17:32:57 | 映画
『お熱いのがお好き』 ビリー・ワイルダー監督   ☆☆☆

 安売りしていた英語版DVDを買って来て鑑賞。実はマリリン・モンロー出演作品を見るのはこれが初めてである。出演は他にジャック・レモンとトニー・カーティス、監督はビリー・ワイルダー。傑作と聞いて期待していたのだが、残念ながらイマイチだった。期待し過ぎたかな。

 女装ものである。ジャック・レモンとトニー・カーティスがギャングに追われ、女だけのバンドにもぐりこむために女装する。そこのシンガーがマリリン・モンロー扮するシュガーだ。どうもハリウッドには「女装もの」というジャンルがあるようで、男が女装して出てくる映画は『トッツィー』『ミセス・ダウト』『3人のエンジェル』『プリシラ』など色々ある。人気があるジャンルなのかも知れないが、個人的にはほとんど面白いと思えない。少なくとも女装がメインになってちゃ駄目だ。本作も例外ではなかった。

 話の展開は「んなアホな」といういつものワイルダー調で、まあまあ笑えるが、あまり垢抜けない気がした。大体なんであそこでジャック・レモンがトニー・カーティスに協力するのかが分からない。二人ともシュガーを気に入り、最初は張り合っているような感じがあったのに、あんなに嫌がってたじいさんとデートしてまでトニー・カーティスがシュガーを口説く手伝いをするのである。トニー・カーティスは完全にシュガーを騙しているし。終盤のギャングとのチェイスもドタバタしていてあんまり乗れなかった。

 初めてちゃんと観たマリリン・モンローは確かに可愛かった。体つきが結構たくましい感じなのが意外。しかしあの衣装はちょっとすごいな。

 ところでアメリカ映画を観ていて時々思うが、主人公が人を騙してなんとも思わないような奴だったりするのは国民性なのだろうか。アメリカ人というのは平気で嘘をつく奴が多いが、やっぱりそういうことなのか。ケーリー・グラントなんか典型的で、どの映画でも嘘ばかりつく役だが、それが不誠実ではなく機転がきく、ウィットに富む、みたいにむしろ肯定的に捉えられている気がする。この映画でもトニー・カーティスは大金持ちだと言ってシュガーの気を惹き、ジャック・レモンが爺さんからもらった花やブレスレットを横取りし、他人のヨットも不法侵入して勝手に使う。相当ひどい奴で、こんな奴はとても信用できないと思うが、最後にそれがバレてもシュガーは全然怒らない。映画の主人公が人格者でなくても一向に構わないが、このあっけらかんとしたこだわりのなさにどうも違和感を感じる。


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