アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

男はつらいよ 噂の寅次郎

2009-05-11 16:09:13 | 映画
『男はつらいよ 噂の寅次郎』 山田洋次監督   ☆☆☆  DVDを購入して再見。マドンナは大原麗子。『男はつらいよ』シリーズとしてはオーソドックスなつくりで、まあまあの水準作だと思う。取り立てて傑作ではない。が、志村喬が登場するたった三本のエピソードの中のひとつであるというだけで、個人的には価値を見出してしまう。志村喬と渥美清、この重厚と軽妙のバランスはどの作品の中でも素晴らしい。  本作では . . . 本文を読む

愛について語るときに我々の語ること

2009-05-09 13:44:43 | 
『愛について語るときに我々の語ること』 レイモンド・カーヴァー   ☆☆☆☆★  レイモンド・カーヴァーの短編集を再読。これはアメリカでは三冊目のオリジナル短編集で、私が持っている中央公論社の「THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER」シリーズでは『たのむから静かにしてくれ』に続く第二巻ということになる。もちろん訳は村上春樹。まだミニマリスム色が強く、ぎりぎりまで . . . 本文を読む

ローズマリーの赤ちゃん

2009-05-07 20:31:07 | 映画
『ローズマリーの赤ちゃん』 ロマン・ポランスキー監督   ☆☆☆☆  昔から好きな映画で、ビデオを持っていたが今回DVDを購入して再見。やはり良い。一応ホラー映画の古典ということになっているが別にショッカーではなく、刺激という点では最近のホラーを見慣れた人には物足りないだろう。どちらかというと心理サスペンスである。ハラハラドキドキよりも、雰囲気に浸る映画だ。  舞台は1960年代のニューヨーク . . . 本文を読む

絡新婦の理

2009-05-05 19:43:00 | 
『絡新婦の理』 京極夏彦   ☆☆☆☆  『姑獲鳥の夏』に続いて『絡新婦の理』を再読。やはり京極堂シリーズには中毒性がある。  さて、このタイトルは「じょろうぐものことわり」と読む。なめてんのかと言いたくなるが、これは京極夏彦の勝手な創作ではなく、いわゆる女郎蜘蛛が中国では「絡新婦」と表記する事実に因っているらしい。ちゃんと裏づけがあるのだから文句も言えない。しかしこの人の漢字に対する偏愛ぶり . . . 本文を読む

2009-05-03 12:22:49 | 映画
『鳥』 アルフレッド・ヒッチコック監督   ☆☆☆☆  ビデオを持っているが久しぶりに観たくなったので英語版DVDを購入。DVDにはクローズド・キャプションが付いているので、前は聞き取れなかった会話部分がよく理解できて新鮮だった。  ご存知の通り、ヒッチコック映画の中でも『サイコ』と並んで最も有名な映画の一つである。ある日鳥がいっせいに人間を襲い始める、ただそれだけ。単純きわまりない。しかもそ . . . 本文を読む

Famous Last Words

2009-05-01 20:01:42 | 音楽
『Famous Last Words』 Supertramp   ☆☆☆★  スーパートランプ7枚目のスタジオアルバム。大ヒットした『ブレックファスト・イン・アメリカ』に続く作品にして、ロジャー・ホジスンが在籍した最後のアルバムである。  最近久しぶりに通して聴いて、なかなかいいアルバムだと再認識した。楽曲の充実振りは決して『ブレックファスト・イン・アメリカ』に負けていない。ロジャーの曲は内省 . . . 本文を読む