『男はつらいよ 噂の寅次郎』 山田洋次監督 ☆☆☆
DVDを購入して再見。マドンナは大原麗子。『男はつらいよ』シリーズとしてはオーソドックスなつくりで、まあまあの水準作だと思う。取り立てて傑作ではない。が、志村喬が登場するたった三本のエピソードの中のひとつであるというだけで、個人的には価値を見出してしまう。志村喬と渥美清、この重厚と軽妙のバランスはどの作品の中でも素晴らしい。
本作では . . . 本文を読む
『愛について語るときに我々の語ること』 レイモンド・カーヴァー ☆☆☆☆★
レイモンド・カーヴァーの短編集を再読。これはアメリカでは三冊目のオリジナル短編集で、私が持っている中央公論社の「THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER」シリーズでは『たのむから静かにしてくれ』に続く第二巻ということになる。もちろん訳は村上春樹。まだミニマリスム色が強く、ぎりぎりまで . . . 本文を読む
『ローズマリーの赤ちゃん』 ロマン・ポランスキー監督 ☆☆☆☆
昔から好きな映画で、ビデオを持っていたが今回DVDを購入して再見。やはり良い。一応ホラー映画の古典ということになっているが別にショッカーではなく、刺激という点では最近のホラーを見慣れた人には物足りないだろう。どちらかというと心理サスペンスである。ハラハラドキドキよりも、雰囲気に浸る映画だ。
舞台は1960年代のニューヨーク . . . 本文を読む
『絡新婦の理』 京極夏彦 ☆☆☆☆
『姑獲鳥の夏』に続いて『絡新婦の理』を再読。やはり京極堂シリーズには中毒性がある。
さて、このタイトルは「じょろうぐものことわり」と読む。なめてんのかと言いたくなるが、これは京極夏彦の勝手な創作ではなく、いわゆる女郎蜘蛛が中国では「絡新婦」と表記する事実に因っているらしい。ちゃんと裏づけがあるのだから文句も言えない。しかしこの人の漢字に対する偏愛ぶり . . . 本文を読む
『鳥』 アルフレッド・ヒッチコック監督 ☆☆☆☆
ビデオを持っているが久しぶりに観たくなったので英語版DVDを購入。DVDにはクローズド・キャプションが付いているので、前は聞き取れなかった会話部分がよく理解できて新鮮だった。
ご存知の通り、ヒッチコック映画の中でも『サイコ』と並んで最も有名な映画の一つである。ある日鳥がいっせいに人間を襲い始める、ただそれだけ。単純きわまりない。しかもそ . . . 本文を読む
『Famous Last Words』 Supertramp ☆☆☆★
スーパートランプ7枚目のスタジオアルバム。大ヒットした『ブレックファスト・イン・アメリカ』に続く作品にして、ロジャー・ホジスンが在籍した最後のアルバムである。
最近久しぶりに通して聴いて、なかなかいいアルバムだと再認識した。楽曲の充実振りは決して『ブレックファスト・イン・アメリカ』に負けていない。ロジャーの曲は内省 . . . 本文を読む