『ビデオテープの証言』 ☆☆☆
今回はエレクトロニクスを駆使してくる犯人が相手である。監視カメラが設置された屋敷で、そのシステムを逆手にとってアリバイに利用する。コロンボは犯人の侵入経路やら何やらで例によって突っ込むが、犯人のハロルドはああ言えばこう言うでなかなか尻尾をつかませない。
このハロルドを演じているのはオスカー・ウェルナーという俳優さんで、私は良く知らないがトリュフォー映画で有名 . . . 本文を読む
『死の接吻』 アイラ・レヴィン ☆☆☆☆
サクサク読めるエンターテインメントが読みたくなって再読。こういう時にこの本はピッタリなのである。アイラ・レヴィン23歳の時の処女作だが、とてもそうとは思えない巧みな小説だ。
利己的な青年が美貌を武器を女をたぶらかし、財産を手に入れようとする。「女は金についてくる」ではなく「金は女についてくる」というわけだが、女が妊娠して計画に破綻をきたし、殺人 . . . 本文を読む
『四月の雪』 ホ・ジノ監督 ☆☆☆★
ヨン様主演映画を日系のレンタルビデオで借りてきて観た。そしたらいきなり吹き替えだったので驚いた。どうして普通の外国映画のように字幕じゃないのだろう。韓国映画は普通こうなのか?
ホ・ジノ監督は『八月のクリスマス』という映画を作った人だが、あれも相当に淡々とした映画だった。こういう抑制の効いた映画作りは嫌いじゃない。この映画もやっぱりすごく淡々としてい . . . 本文を読む
『ロサリオの鋏』 ホルヘ・フランコ ☆☆☆☆
コロンビアの作家で、ガルシア・マルケスの後継者的な評価をされている人らしい。まあ分からないではない。ラテンアメリカ文学らしい濃厚な小説だった。しかし私はマルケスというよりホアン・ルルフォに近いような気がした。
ロサリオという女殺し屋の話である。ロサリオが撃たれて病院に担ぎ込まれるところから始まり、治療室の外で待つ「俺」がロサリオについて回想 . . . 本文を読む
『ベルヴィル・ランデブー』 シルヴァン・ショメ監督 ☆☆☆☆☆
日本版DVDを購入して鑑賞。いやーびっくりした。素晴らしいなんてもんじゃない。フランスという国の奥の深さを思い知らされた。
アニメは日本が最先端、と何となく思っている日本人も(私を含め)多いと思うが、こういうアニメを見せられると不安になってくる。なんというか、画面からにじみ出る余裕とセンスが桁違いなのである。映像、音楽、ス . . . 本文を読む
『シュガー』 A.S.バイアット ☆☆☆★
英国の女流作家、バイアットの短篇集を再読。帯にはこうある。「ゴースト・ストーリーから芸術家小説まで、かぎりなくイギリス的な物語の数々」
確かにイギリス的だ。繊細で、几帳面で、理知的で、きっちりディテールが書き込まれ、内省的。もともと学者らしく、文学、哲学、美術などに精通しているらしい様子は作品からも伺える。英国きっての知性派女流作家らしい。
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『必殺仕業人』 ☆☆☆☆
中村主水シリーズをすべて観尽くしたわけじゃないが、これまで観た限りでは最高作は『必殺仕置人』だと思う。エピソード一つだけと言われればおそらく『新必殺仕置人』の最終回になるだろうが、作品トータルで考えるとオリジナル仕置人の方がインパクトが強い。中村主水、鉄、錠という布陣も最高だし、痛快さも最高、そしてアクの強さも最高だ。しかし、その『必殺仕置人』がオモテの最高作だと . . . 本文を読む