『Out of the Blue』 Electric Light Orchestra ☆☆☆☆☆
私がELOを聴き出したのはここ数年のことだ。以前は名前だけ知っている程度で、よくアラン・パーソンズ・プロジェクトとごっちゃにしていた。バンド名からテクノとシンフォニック・ロックが融合したようなイメージを持っていたが、実際に曲を聴いてみると明るくキャッチーなポップ・ロックだった。どうやら初期はプログレだったらしいが、黄金時代と言われる『Out of the Blue』『Discovery』『Time』あたりは間違いなくポップ・ロックだ。もともとはビートルズの「エリナー・リグビー」のような、ストリングスが入ったポップ・ロックをやるというコンセプトで出発したというELO、その本質はやはりビートルズ直系のキャッチーなメロディである。特にポールが書いたビートルズ曲のテイストを強く感じさせ、ジェフ・リンのヴォーカルなども歌い方や音響処理のせいか時々ポールやジョン・レノンの声に似て聞こえる。加えて、ドゥー・ワップやモータウンなど60年代ポップスの要素も入っている。代表曲「Confustion」や「Tellephone Line」などはその系統だ。
そこに、ストリングスと華やかなコーラスが加わってELOの音楽が完成する。代表的なアルバムとしてよくあげらるのは『Out of the Blue』『Discovery』『Time』あたりで、それぞれテイストが違う。『Out of the Blue』は二枚組の大作で、ELO本来の「ビートルズ・メロディ+ストリングス」路線をきわめたアルバム、『Discovery』はよりコンパクトでポップなヒット曲満載のアルバム、『Time』はストリングスと決別しエレポップ色を強めたアルバム、となっている。どれもいい曲がたっぷり入っていて、いずれ劣らぬ傑作アルバムだと思う。
この三枚の中で、私は今のところこの『Out of the Blue』が一番気に入っている。このアルバムの魅力はまず、ビートルズ・ライクなメロディ・メーカーとしての冴えが頂点に達していること。たとえば『Discovery』ではちょっとディスコっぽい要素があったりするが、このアルバムでは純正ビートルズ・マニアに徹している感があり、たとえば「Mr. Blue Sky」なんてもう、ポールが書いてジョンが歌っている曲としか思えない。とは言っても猿真似ではなく、ちゃんとELOの音楽になっている。加えて、ストリングスとコーラスの大々的な導入。ここでいうコーラスとはバンドメンバーのハーモニーではなく、混声合唱団みたいな重厚なバック・コーラスのことで、たとえば「星に願いを」みたいな昔のディズニー映画のサウンドトラックを思い浮かべてもらえばいい。こうしたコーラスとストリングスが一丸となって、ビートルズ・ライクでポップな曲の数々をドリーミーに盛り上げる。その甘美さはたとえようもない。
二枚組の大作だが、うっとりしているうちにあっという間に聴き終えてしまう。構成もよく練られていて、最初は元気一杯のアゲアゲの曲を連発。ちなみに三曲目「Sweet Talkin' Woman」は60年代ポップ風の激しくキャッチーな曲で、個人的なフェイバリット曲だ。そして中盤、短いインスト曲「Believe Me Now」を境に哀愁のバラード路線へと突入。「Steppin' Out」や「Big Wheels」におけるストリングスとバック・コーラスの美しさは絶品だ。もともとELOのコンセプトだった「ストリングスを使ったポップ・ロック」はここにきわめられたと言っても過言ではない。
そしてビートルズ・マニアぶりを遺憾なく発揮する「Mr. Blue Sky」「Sweet Is the Night」あたりから大団円へと向けて盛り上がり、哀愁のインストゥルメンタル曲「The Whale」(これがまた名曲!)などを挟みながら堂々たる「Wild West Hero」でドラマティックなエンディングを迎える。完璧である。最近はこの後にボーナス・トラックとして「Wild West Hero (Demo)」「The Quick and the Draft」「Latitude 88 North」の3曲が入っているが、ボーナス・トラックによくあるように流れがぶち壊しになることはなく、この3曲を入れて聴いても、というかむしろこの3曲を入れて聴いた方が更に良いという素晴らしい構成になっている。「Wild West Hero (Demo)」は20秒ほどのア・カペラのコーダとして聴け、「The Quick and the Draft」はあざといまでに甘美かつドラマティックなインスト、そして「Latitude 88 North」はELO王道の胸キュン・ポップ・ソング。従ってボーナス・トラック入りのディスクで聴くことをおススメする。
ELOの最高傑作アルバムはどれかというのは人によって意見が分かれるようだが、『Out of the Blue』が彼らの魅力のある側面をもっともよく伝える一枚であるということに、異論がある人はいないだろう。
私がELOを聴き出したのはここ数年のことだ。以前は名前だけ知っている程度で、よくアラン・パーソンズ・プロジェクトとごっちゃにしていた。バンド名からテクノとシンフォニック・ロックが融合したようなイメージを持っていたが、実際に曲を聴いてみると明るくキャッチーなポップ・ロックだった。どうやら初期はプログレだったらしいが、黄金時代と言われる『Out of the Blue』『Discovery』『Time』あたりは間違いなくポップ・ロックだ。もともとはビートルズの「エリナー・リグビー」のような、ストリングスが入ったポップ・ロックをやるというコンセプトで出発したというELO、その本質はやはりビートルズ直系のキャッチーなメロディである。特にポールが書いたビートルズ曲のテイストを強く感じさせ、ジェフ・リンのヴォーカルなども歌い方や音響処理のせいか時々ポールやジョン・レノンの声に似て聞こえる。加えて、ドゥー・ワップやモータウンなど60年代ポップスの要素も入っている。代表曲「Confustion」や「Tellephone Line」などはその系統だ。
そこに、ストリングスと華やかなコーラスが加わってELOの音楽が完成する。代表的なアルバムとしてよくあげらるのは『Out of the Blue』『Discovery』『Time』あたりで、それぞれテイストが違う。『Out of the Blue』は二枚組の大作で、ELO本来の「ビートルズ・メロディ+ストリングス」路線をきわめたアルバム、『Discovery』はよりコンパクトでポップなヒット曲満載のアルバム、『Time』はストリングスと決別しエレポップ色を強めたアルバム、となっている。どれもいい曲がたっぷり入っていて、いずれ劣らぬ傑作アルバムだと思う。
この三枚の中で、私は今のところこの『Out of the Blue』が一番気に入っている。このアルバムの魅力はまず、ビートルズ・ライクなメロディ・メーカーとしての冴えが頂点に達していること。たとえば『Discovery』ではちょっとディスコっぽい要素があったりするが、このアルバムでは純正ビートルズ・マニアに徹している感があり、たとえば「Mr. Blue Sky」なんてもう、ポールが書いてジョンが歌っている曲としか思えない。とは言っても猿真似ではなく、ちゃんとELOの音楽になっている。加えて、ストリングスとコーラスの大々的な導入。ここでいうコーラスとはバンドメンバーのハーモニーではなく、混声合唱団みたいな重厚なバック・コーラスのことで、たとえば「星に願いを」みたいな昔のディズニー映画のサウンドトラックを思い浮かべてもらえばいい。こうしたコーラスとストリングスが一丸となって、ビートルズ・ライクでポップな曲の数々をドリーミーに盛り上げる。その甘美さはたとえようもない。
二枚組の大作だが、うっとりしているうちにあっという間に聴き終えてしまう。構成もよく練られていて、最初は元気一杯のアゲアゲの曲を連発。ちなみに三曲目「Sweet Talkin' Woman」は60年代ポップ風の激しくキャッチーな曲で、個人的なフェイバリット曲だ。そして中盤、短いインスト曲「Believe Me Now」を境に哀愁のバラード路線へと突入。「Steppin' Out」や「Big Wheels」におけるストリングスとバック・コーラスの美しさは絶品だ。もともとELOのコンセプトだった「ストリングスを使ったポップ・ロック」はここにきわめられたと言っても過言ではない。
そしてビートルズ・マニアぶりを遺憾なく発揮する「Mr. Blue Sky」「Sweet Is the Night」あたりから大団円へと向けて盛り上がり、哀愁のインストゥルメンタル曲「The Whale」(これがまた名曲!)などを挟みながら堂々たる「Wild West Hero」でドラマティックなエンディングを迎える。完璧である。最近はこの後にボーナス・トラックとして「Wild West Hero (Demo)」「The Quick and the Draft」「Latitude 88 North」の3曲が入っているが、ボーナス・トラックによくあるように流れがぶち壊しになることはなく、この3曲を入れて聴いても、というかむしろこの3曲を入れて聴いた方が更に良いという素晴らしい構成になっている。「Wild West Hero (Demo)」は20秒ほどのア・カペラのコーダとして聴け、「The Quick and the Draft」はあざといまでに甘美かつドラマティックなインスト、そして「Latitude 88 North」はELO王道の胸キュン・ポップ・ソング。従ってボーナス・トラック入りのディスクで聴くことをおススメする。
ELOの最高傑作アルバムはどれかというのは人によって意見が分かれるようだが、『Out of the Blue』が彼らの魅力のある側面をもっともよく伝える一枚であるということに、異論がある人はいないだろう。
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