崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

口コミ

2012年05月09日 05時11分07秒 | エッセイ
 ある医者にホームページなどを作り宣伝をして病院をより大きく成長させることを勧める話をしたら意外な返答がきた。彼は商業的に成功させるよりは口コミによって信頼してくれる患者だけにした方が彼には気があうようにいう。宣伝をして拡大し、医師も増えると人間関係や管理などが複雑になることも予想される。彼の言葉を私なり経営的に拡大解釈したが彼の本心は医療行為は商業的な商術ではなく、「仁術」であるというところにポイントとがある。この世への大きいメッセージが伝わってくる。
 私が通っている病院は数か所あるが二つの対照的な医院がある。一つは若い医師が院長であり、宣伝や最新機械を揃えるなど商術が上手く患者さんも常に満員である。予約制ではなく、待つ時間は1時間以上である。もう一つは高齢な医師が口コミによる小規模のところであり、患者さんとは知り合いの人たちのようにしている。医師の顔をまともに見ることはないが、長い経験の手先が柔らかに感じ、丁寧にし、医療費も安い。これらの二つのモデルは対照的であり、どれが良いかとは言いにくい。経営は別として「医術は仁術である」という原点に戻って考えてみたい。