崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

植樹祭

2012年05月29日 05時08分55秒 | エッセイ
 全国植樹祭が5月27日(日)山口市で天皇ご夫妻が参加して記念式典が行われた。天皇ご夫妻は山口県木のアカマツとクスノキを植樹した後に下関のグランドホテルに泊まり、安徳天皇陵や赤間神宮を参拝した。交通規制がおかれて私は迂回して帰宅した。「第63回」の植樹祭といわれるが、日本の植樹の歴史はもっと古い。それは韓国においてもそうである。私は朝鮮総督府の機関紙である『朝鮮』を読みながら驚いたことがある。日本は朝鮮を植民地化して「植民」と同時に「植樹」をしたのである。植樹祭に全国的に桜を植えた記事を読んだのである。戦後韓国では4月5日を「植木日」と定め記念日として植樹が行われている。日本の全国植樹祭も戦前の伝統を引きついでいるように韓国の「植木日」もおそらく戦前の伝統を引きついでいるのだろう。
 今度は山口市で行われ、県木のアカマツを植樹したということに私は異様な対照を感ずる。日本は植民地朝鮮に「桜」を植えて、今度日本に朝鮮の象徴的なアカマツを植えたことである。私はアカマツに目が引かれる。山口県木のアカマツは日本より朝鮮に多く、中には「朝鮮赤松」が有名である。日本ではクロマツの美しさ楽しんだり、尊重したりすると言えるほど剪定された松が一般的である。しかし朝鮮赤松は背が高く、剪定することなく、自然の美しさ、特に「老松」を尊重し、眺めるような文化がある。特に韓国の水原や東海岸地域に密林しており、私は数回見に行ったこともある。仁川空港に植樹されたのも赤松である。植民地朝鮮に「日本を象徴する桜」を、日本に「朝鮮を象徴する赤松」を植えたことは時代と歴史を圧縮したように感ずる。私の過剰反応であろう。木に国籍はないはず、今度の植樹祭は自然な美しさを愛好する時代へのメッセージとしてとらえる。(사진은 대구벽송산악회)