崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

客観的な態度は不利

2018年03月14日 06時07分10秒 | エッセイ

 拙著『慰安婦の真実』に関して主に評価される点は「客観的・中立的」という点である。特に日韓関係に関してそうであるという。ロンドン旅行中の堀まどか氏から書評の原稿が届いた。彼女は二重国籍者の研究者である。容は出版物を通して紹介する。拙著が多くの評者から評価される、良い点が共通する。しかし日韓両方から非難されることも多い。特に日本に関して少々否定的に指摘するとすぐ反論や非難が来る。客観的な態度をとることはどちらからも非難されやすい不利な点がある。1930年代に多くの朝鮮人知識人が大東亜共栄圏構想に賛同し、韓国では「親日派」と汚名で呼ばれた。彼らはおそらく当時の世界観、知識による客観的な判断だったのかもしれない。客観的という態度は時には変節する危険にさらされる可能性もありうる。しかし私は楽な愛国者にはなりたくない。不利なことがあってもその態度を放棄するつもりはない。それが学問の基層精神であり、生き方そのものであるからである。