崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『動く墓』

2018年03月06日 06時12分36秒 | 日記

 先日出版記念会に参加した人から私のシャーマニズム研究を聞きたいと言われて嬉しかった。まだ下関では長年してきたシャーマニズム研究報告はしたことがない。新年度講座ににおいて一回「シャーマニズム」を入れた。文学と民俗学から文化人類学へ変わった私の研究が最近は専攻が曖昧になったようである。若い時目指した評論家になっていくようである。故郷とはただ両親の墓だけのつながりしかない。開発で墓を移動させようとする親族と裁判までして墓を守っている。私の風水信仰でもある。しかし私自身の墓や祖先祭祀には関心がない。それはキリスト教的信仰観であろう。
 越智郁
氏の『動く墓──沖縄の都市移住者と祖先祭祀』で墓が動くということに関心がもたされる。彼女は広島大学時代に院生であったが今は大学の教員、長く沖縄の研究の成果を世に出した。残念ながら私の洗骨調査論文は読んでいないようである。これから送ってあげようと思う。墓を作るのは勝手にはできない。民俗文化で決まっている。また作ってからは動かせない。しかし戦争や植民地移動などで墓は動かしている。私も引揚者についてまず注意してインタビューするところである。沖縄で人の移動に伴い墓はどのように動くのかに関心を深めている彼女の博士論文を読んでいる。