崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「冥界婚」

2015年04月28日 05時38分07秒 | エッセイ
 最近私は風呂の中で居眠りしていることがあるというと家内から危険だと言われた。私曰く「気にしない、大往生」と。家内は裸では困ると言う。私は死んだ者に恥はないと言った。「死んだ者に恥はない?」と大変なことばを言ってしまった。大嘘付きの吉田清治も生前に嘘があばかれず本人は慰安婦騒ぎを知ることなく、墓に静かに寝ているだろう。数日前から生き埋めの犯罪が報道されている。普通の感覚では理解できない。死をどう迎えるか考えなければならない。
 今東京のビジュアルフォークロアで出版準備のビデオ「冥界婚」監修作業の最中である。34歳の船員の海上死の死因を探す儀礼である。韓国慶尚北道清河で北村皆雄監督と同行して氏が撮ったもの、2時間を越える長い映像である。死に伴う哭きの儀礼、死後結婚に関するものである。死者への悲しい思いは何だろう。ソウルの姉が父の祭祀を行ったとメールが届いた。ただ自分自身の長生きだけで死に関心が薄い現代人にこのビデオを観てもらいたい。