崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

全ての人々

2015年04月10日 04時50分09秒 | 旅行
天皇と皇后は太平洋戦争激戦地であったパラオを訪問した。戦争で亡くなった全ての人々を追悼したと報じられた。パラオは1920年代から日本の委任統治領であって帝国日本の南洋への進出の拠点となっていた。アメリカとの戦争でその島などを死守しようと多くの犠牲者を出したところへの慰霊訪問であった。我が夫婦も一昨年その島で現地調査を行ったこともあり、住民たちが天皇を歓迎する映像を見て特に天皇が「先の戦争で亡くなった全ての人々を追悼します」というお言葉に感動した。「戦争で亡くなった全て」の「全て」の中には日本人や朝鮮人を含む、当時敵であった米軍の戦死者も含むということである。敵への慰霊は本当に日本の未来志向の平和と人道主義的なことであり、歓迎したい。今朝鮮半島の南北の政府は互いに敵の死者を慰霊することができるだろうか。
昨日は新しい顔の留学生たちの前に立った。私の名字を見て中国人ではないかと思ったという学生がいた。外見では区別がつき難い東アジアで通じる話を展開していくつもりである。新学期最初の授業、留学生の大学院生、学部生、読書会で忙しい一日であった。留学生たちへのクラスは私の留学の経験談から始まった。中国からの留学生の李君は日本での生活になれても中国に帰ってからは中国式になってしまうと言う。学校で学んでも社会に出ると社会に適応するという話と同様である。日本語のことわざ「郷に入っては郷に従う」ということである。しかしイエスは世間に学ばないことを教えた。私は社会の改革者を育てたい。「全て」の人のために…。