崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

日本文化論

2015年04月11日 05時37分50秒 | 旅行
日本文化論のスタートは南洋群島のパラオであった。10余人の学生は日本、韓国、中国、モンゴルと出身国が異なる国家民族の広がり、多様な構成、まるで国際会議のようであった。ニュースになっているパラオについて私の現地調査の写真などを紹介した。スペインからドイツ、そして日本の委任統治領となって、アメリカ統治、独立への、その島の植民地の歴史を簡略に語った。そしてその国では植民地された歴史に否定的な歴史認識を持っていない。親日的なことに対する意見を求めた。ノートしたものを参考にしがら話すように誘導した。学生たちは躊躇せず発表した。今懸案となっている歴史認識を問うてみた。偏見なし、先入観なし、自他ない、味方ない客観的な見方のリトマス実験の瞬間であった。難しいスタートであった。
広島大学大学院総合科学研究科の『アジア社会文化研究』16号が届いた(写真)。嬉しい。私が在職中に院生たちに学生たち自らスタディグループを作ることを話したことが契機になり、フーコの『性の歴史』の読書会ができ、後にアジア社会文化研究会が出来上がってこの雑誌を作ることになった。創刊号から私が編集を担当したが私が離れて諸先生方の参加により活発に研究誌として発展してきた。今月号では三木直大教授の責任編集で「ともかく16号まで続きました」というメモが入っていたのを見て先生と学生たちのご苦労に感謝と賛美を送りたい。私の研究エッセイの「朴正熙と農村振興運動」が掲載された。朴大統領のセマウル運動は宇垣朝鮮総督の農村振興運動に遡れるという内容である。題の中に農村復興運動を「農村振興運動」に訂正したい。