崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

アイロン

2007年07月18日 05時45分41秒 | エッセイ
 私は時々自分のワイシャツにアイロンをかけながら過去を思い出す。朝鮮戦争後私の転校にともない我が家は田舎からソウルに引越した。姉が現在ロッテホテルの向かい側の百貨店のコーナーでドライクリーニング屋をやった。私は学校帰りにアイロンがけを手伝った。母の仕事を手伝ったこともあって抵抗はなかった。ある日紳士服をアイロンで焦がしてしまったことがあった。賠償しなければならないことで大変なことを覚悟したが、姉が弟の中学生が手伝って失敗したと謝った。客は名門の中学校の名前を聞いて許してくれたという。その服を編み縫いして直したようであった。その編み縫い直しは時間がかかる細かい仕事であるが、一時私も習ったことがある。それを職にした女性はいまだに姉の一番の友人である。今私はその時覚えて、得意のアイロンをかけなければならない。