明星大学の秀村研二氏から「韓国社会における死をめぐる民族文化の変容」の論文が届いた。それによると1990年代葬儀社が病院の霊安室に関与してトラブルが起きたりして病院側が直接経営するようになったということである。有数の大学病院なども病院が葬儀を直接管理するようになった。つまり病院と葬儀屋が合体したのである。病院は健康と命を守るところであるが、死を前提にして病院にいくということはヒポクラテスの医療精神に反することであろう。数年前キリスト教の牧師たちの集まりで私がこの問題を生命倫理からみて可笑しいと講演したが私の意見に賛同するような表情は見受けられなかった。私の恩師の葬儀も病院の葬儀場で行われて生前愛した自宅でしなかったことに疑問をもち、聞いてみたら接待が便利だからだという返事であった。これが今の韓国の葬儀事情である。秀村氏は倫理的には触れていない。私が蛇足をつけたのである。