verse, prose, and translation
Delfini Workshop
Cioranを読む(76)
■旧暦11月18日、月曜日、
(写真)無題
マエストロ(Valery Afanassiev)が、新しい詩を数編送ってくれたので、返事を書く。今までよりも、言葉の運動の傾向が強く、詩の中に沈黙を呼び込んでいない。その分、詩のはじめと終りの静寂が深くなったように感じる。言葉が言葉を呼び、詩句が詩句を呼び込む。思想的な一貫性は、以前から、変わらない。英語のリズムは読むだけで心地いいので、いくつか紹介したい。
You say, they say; so do I.
Heaven isn’t down yet. It is up,
Sideways.
So many gods hang
In our wardrobes.
You choose one god,
Two women. They’re on
Your floor.
So many floors. All of them are
Full of gods and goddesses.
An empty floor; an empty god.
Wait, wait. I can’t wait. I wait.
You come, you don’t. Let us listen
To you, to your brothers and
Sisters; and uncles. I listen; I hear only
One note. She is right.
You, you, you. Thou. I’m weary of thous.
There are only ‘ous’. I’ll utter
Their word. Do they have one? Everyone has
A word. This is the word. This is
My word, your word. This is, is, is. I
Can utter it, show it. I am it.
Am.
☆
女性対象(とくに高齢者)のカーブスというフィットネスクラブがある。もともとは、米国資本らしいが、盛んに、新規会員を募集して、全国展開している。だが、その商売の仕方は、新興宗教並みにえげつないので、書いておく。まず、会員になって、しばらくすると、新規会員を勧誘するように指導される(顧客を、社員のように扱い、新規勧誘を強い、事後報告までさせる。こういう神経が、そもそも、理解できない。トレーナーは「コーチ」だそうである)。フィットネス中は、不自然なほど、フレンドリーにコミュニケーションを図り、個人情報を根掘り葉掘り収集する。カーブスと会員の感情的なパイプを太くした段階で、プロテインなどの自社製品を強引に売りこんでくる(感情的につながっているので、断りにくくなる)。断ると、露骨に、感情的な反応を示して、他の会員との差別化を図り、行動をコントロールしようとする。この感情ビジネスのいかがわしさに、気がづいた会員は辞めるが、常に、新規会員の補充を行い、身心ともに洗脳された会員の数を増やしていく。会員は、一人の人格を持った人間ではなく、金になるかどうかで選別している。アメリカンビジネスの典型のような価値観だが、日本文化のどこを突けば金になるか、よく研究している。高齢者になるほど、判断力、意志力は弱くなる。まして、都会の一人暮らしの老婦人は、一も二もなくやられてしまうだろう。こういうことを22、3のトレーナーの女の子たちが、良かれと思いこんで、やっているのである。なんだか何重にも物悲しいではないか...。今後、TPPでこういう現象が増えるのではないかと危惧される。
☆
Tou ce qu'on peut classer est périssable. Ne dure que ce qui est susceptible de plusieurs interprétations. Cioran Aveux et Anathèmes p.129 Gallimard 1987
分類できるものはすべからく滅びる。生き残るのは、何通りもの解釈ができるものだけである。
■分類できないものが生き残る、という見方は非常に面白い。自然界全体を見るとそうなのかもしれない。人間は、分類できるものになろうと必死である。社会的なアイデンティティが、経済を保証するからだ。その経済が崩壊しかけている。分類できるものは生き残れるのであろうか。
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