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原爆詩181人集(4)

■旧暦6月14日、金曜日、

非常に蒸し暑くて参った。昼、公園で本を読もうとしたが、あまりの蒸し暑さに、断念。小中学生くらいの兄弟が元気にキャッチボールをしていた。午後、仕事を少し進める。夕方、家人をカイロに連れて行く。待ち時間の間も仕事をする。一時間近くも外の狭い空間で待てたというのは、ちょっとした自信になった。帰宅すると、娘が掃除を済ませ、麦茶まで作ってくれていた。ちょうど、試験が終って休みだったのだ。



米田栄作(1908-2002)広島県生まれ、広島で被爆。


川よ とわに美しく

その二

川は敗れなかった
川は崩れなかった

色冴えてきた水嵩
それゆえ 雲々は
日毎 水浴びにやってくる

水底の焼木一本
それゆえ 私の子は
夜毎 ぶらんこを夢みるだろうか
朝夕 鐘よ鳴りわたれ
彩いろに美しく 水は
永遠に漂うものを

川は焼けなかった
川は失われなかった


『原爆詩181人集』(p.50)





春 望

国破れて山河在あり
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺ぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり
家書万金に抵あたる
白頭掻けば更に短かく
渾て簪に勝えざらんと欲す


一見、この詩は、杜甫の有名な詩を思い出させる。しかし、決定的に違うのは、「嘆かない」ことである。世界は歪んでいる、その歪みの頂点が原爆投下だったように思う。そして、今も世界は歪んでいる。そうした世界のありようを批判して批判して批判して、最後の紙一重のところで、世界を信じる方に賭ける。なぜなら、それは母であり、父祖であるからだ。そんなメッセージが聞こえてこないだろうか。

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