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翻訳詩の試み(14)

■旧暦5月28日、木曜日、

昨日の夜は、体調が最悪のレベル3だった。錐で頭を突かれるような耳鳴りが続いて参った。夜半から雨になり低気圧が来ていたためと思われる。晴れている日は、耳鳴りがほぼゼロも体験している。ということは、低気圧以外の要因、つまり、骨格および睡眠は整ってきたということを意味する。治療の方向性は正しいだろう。低気圧をどうするのか、という問題は残るにしても。

今日は、朝から、自律訓練法の習得に国府台病院に行く。サーモグラフィックに現れた皮膚温度を見ると、自律訓練法を始めてから、手の平と鼻の部分が赤く変色し、温度が上昇したことがはっきりわかる。自律訓練法の習得自体は順調と言えるだろう。

苦痛が一段落すると、「なぜ、こんなにも苦しまなければならないのか」という当然と言えば当然の疑問が頭をもたげる。昔から、苦の理由づけは、宗教が行ってきたが、今では、江原啓之のスピリチャリズムがこの役割を担っているように見える。江原さんに言わせれば、前世でやり残した課題を今やっているのだ、ということになろうか。己の外部に存在する既存の言説に、苦の根拠を求めるのではなく、苦の意味を自らが創造していくスタンス、言い換えれば、苦の積極的な側面を探究するスタンスがあっていいだろう(そのときに、伝統的な仏教などの言説を参考にすることはあっても)。端的に言えば、一人宗教である。あるいは、このとき、芸術の端緒に触れているということも言えるかもしれない。



まだ、代名詞の特定など、明確にしたい問題がいくつか残っているが、一応、一次稿ということで、アファナシエフの詩の翻訳をアップする。




モスクワのホテル

                  ヴァレリー・アファナシエフ

わたしはホテルの辛抱強さにいつも驚く。
ひっきりなしに起こる問題や
次々にやってくる客に耐えている。
ホテルは人の心と体にもスーツケースにも慣れる暇がない。

モスクワのホテルに娼婦はつきもの。
外国人が妙なまねをしても
娼婦は逃げもしなければ歳も取らないのである。
外国人にはマゾもいる。
どんなにお婆さんでも客はつくのだ。
老女嗜好の者もいるから。

ホテルは歳を取る。だれも修繕に気を使ってくれないし
ホテルは老女で溢れているのだから。

老女はロビーを流し
外国人に近づいては気を引く。
廊下を歩いては
ドアを叩いて回る。

モスクワのホテルは
啄木鳥だけが棲む森に似ている。
モスクワのホテルは
老女たちの住む廃墟に似ている。



MOSCOW HOTELS

I am always surprised at the patience of hotels.
They put up with permanent turmoil and strangers.
They have no time to get used to their bodies
and their souls and their suitcases.

Moscow hotels get used to prostitutes.
Who seldom depart and grow old while foreigners
Enjoy their exotic manners. There are masochists
among the foreigners. No matter how old
the prostitutes are, they always have clients.
There are lovers of old women among the foreigners.

Hotels grow old: nobody keeps them in proper repair
and there are too many old women inside them.

They loiter about lobbies
and brush against the foreigners.
They stroll along corridors
and knock at every door.

Moscow hotels sound like forests
in which there are only woodpeckers.
Moscow hotels look like ruins
among which dwell old women.


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