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リルケ最後の詩

火曜日、。旧暦、7月29日。旧暦だとまだ7月下旬である。確かに8月はもう秋だったのだろう。そう言えば、数日前から、夕方には蟋蟀がしきりに鳴いている。

日曜日は句会だった。惨敗。まだ、見直す気になれず。その後、連衆のみなさんと飲む。人生の達人揃いですな。今日は、終日、仕事。図書館に返却しなければならないので、アーレントの思索日記Ⅱを一気に読む。その中に印象的なリルケの詩が引用されていた。



リルケ最後の詩


苦痛について   1926年12月

来るがいい、知る限り最後のものよ
体中の収まりようのない痛みよ。
わが心が燃え上がるように、見よ、おまえの中で
私は燃える。おまえが上げる炎に
木材は長い間屈しようとしなかった。
今や近づいて、おまえの中で私は燃えている。
私の穏やかな顔は燃え上がるおまえの中で
この世ならぬ地獄の憤怒の形相に一変する、
全くプランもなく、未来から完全に自由になって
乱雑に積み上げられた薪の山を登ると
無言の蓄えをいだく心のために
未来のものを買い込むあてもない。
まだ、私は、人知れず燃え上がる者なのだろうか。
私は思い出を引き寄せたりはしない。
生きること、生きることというのは、外部に在ることだ。
私は炎の中にいる。私を知る者は誰もいない。




※1926年12月中旬頃、ヴァン・モンでの最後の手帖の書き込み。本来、タイトルはない。
アーレント『思索日記Ⅱ』p.104から。


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