西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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猫と犬:舌をあげるとは?

2010年09月04日 | サンドの作品など
フランス語の表現  :

"donner sa langue au chat ": 
猫に舌をあげる;不必要になった舌を投げる=なぞなぞや質問の答が見つからず、「あきらめること」「降参すること」。

この表現は19世紀に現れたそうですが、それ以前にも、セヴィニェ夫人の作品において、猫」の代わりに「犬」を使った "jeter sa langue au chien":「犬」に舌を「投げる」という表現が見られるようです。

犬には価値のない残り物を投げ与える、つまり、答がみつからないのだから、役に立たない舌を犬にやってしまうという意味が高じて、あきらめる、降参するという意味に変化していったようです。
この表現は、19世紀になって、少しずつ、犬から猫に変化していきます。

では、なぜ「犬」が「猫」になり、「投げる」が「与える」になっていったのでしょうか。

ジョルジュ・サンドは、"Mettre quelque chose dans l'oreille du chat" : 猫の耳の中に何か入れるという言い回しを使っていますが、これは「秘密を打ち明けること」という意味です。

19世紀には猫は秘密を守る番人だと考えられていました。したがって、猫は価値のある存在でした。
猫に舌をあげることによってなぞなぞの答えを猫が教えてくれる、ゆえに猫に舌を与えるとは、舌を貸すという意味にもなりえたのです。

このように、猫に舌を与えるとは、無用になった舌を投げ与えるという意味と、猫が秘密を守ってくれるので、恐らく後で答えを取り戻すときのために、答えを猫に預けておくという意味とが、混同して使われるようになったのではないかと推測されています。

http://www.tv5.org/TV5Site/publication/galerie-282-1-Les_expressions_imagees_de_la_langue_francaise_Jeunesse.htm より

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