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大袈裟な「マーケット」至上主義者?の空騒ぎ

2009年11月10日 18時28分11秒 | 経済関連
ちょっと寄り道ですが、たまたま発見。

はてなブックマーク - マーケットから見た「リフレ派」の誤謬 - よそ行きの妄想

何か、色々と吼えまくっているので、全部を潰してゆくには困難なんだけど、かなり曖昧な論点が多いかも。まあ、ご本人も大事なのは科学や工学ではなく「雰囲気」と言い切っているので、元来が「曖昧」を強力に?肯定しているのかもしれません。マーケット関係者なのだろうと予想しますが、そのせいなんでしょうか。これはとりあえずいいですか。


元記事から引用して正確に挙げてゆくのも面倒なので、大雑把に書いてみるよ。

あ)取引停止するようなロシアなんかに、二度と投資しないのがマーケットの怖さだ!

→そうでもないみたいですけど。他のBRICs諸国と比較してどうなのか知らんけど、確かに国外からの投資が多くはないかもしれない。けど、ロシアの国外からの投資が全部引き上げられたという話は聞いてないですが。98年にだってロシア危機はあって、多くの人々はかなり懲りたはずなのに(当時のロシア国債デフォでMMFみたいな割と堅い投資さえ一時マイナス運用に落ちたんじゃなかった?)、リーマンショック直前にはかなりのロシア投資が行われていたみたいですが。そもそもルーブルの信用なんて、あんまり高くはなかったのに、でも外資は入っていっていたみたいですが?取引停止があった後でも、外資が全部引き上げてルーブル崩壊とかになったわけではなかったみたいですが?


い)日本国債だって、投売りされて暴落する、外資の先物攻撃で暴落する!

→国内投資家は関係ないとかおっしゃるみたいで(日本人が日本国債を暴落させる為に投売りするとは思えないですし)、どうやら攻撃してくるのは外資の切った張ったの好きな怖い投資家たちらしいです。んー、まあ、そういう事態が無いとはいえませんが、案外どうってことはないかも。確か、国債取引ってサーキットブレーカー作動しますよね?(うろ覚え)値幅超えたら、停止措置になるから、ある範囲以上には下落しないんじゃないかな。株のストップ安と同じで国債下落が毎日毎日連続する、ということを言うかもしれませんが、そんなに売れる玉を持っている投資家はいますかね?
先物でレバレッジをかけて売りまくる、という仕掛けをやってきたとして、買い方が買い資金がある限り買えるから、政府系だろうと日銀だろうと買い支えは楽勝だろうと思いますけど。

外資が持ってる国債比率って、かなり少なめなんですよね。それを全部売り切られたとしても、多分買えますな。せいぜい60兆円とかくらいしかないでしょう。


う)海外投資家が日本株を売りまくるぞ!

→これは、十分有り得る。実際、この手を幾度か使われたから。リーマンショック前から、やられたと思うよ。大体07年終わり頃から、阿漕な手を使われた。なので、海外投資家が全てのストックを引き上げる、ということになると、これはインパクトとしては相当大きい。東証時価総額の25%程度を持たれているので、これが売り切られた場合には、相当のダメージを食らうだろうね。株価は暴落、円から外貨に移されるから相当の円安になるだろう。
だけど、日本経済全部が壊滅するかどうかは判らない。いざとなれば、年金資金全部を投入しても、買い支えることは可能だし。この売りをやってくるのは一度切りしかできないので、仕掛けも難しいと思うね。みんなが一斉に追随するかどうか不明だし。


え)円売りを浴びせられ、通貨は暴落する!

→確かに有り得なくはない。い)で見たように、数十兆円の日本国債の完全売り切りは出来るからね。その後にも、為替で円売りを浴びせてくれば、数十兆円~百兆円規模くらいで売りができるかもしれない。これができたとして、果たして、いくらくらい円安にできるのか、ということはあるだろうね。仮に、90円から120円まで33%も下落を達成できたとして、日本経済はどうにかなると思うか?(笑)
否。多分、トヨタとかソニーとか任天堂とかが、「ヒャッホウィィ!」と大喜びしてよかったね、とかくらい?うーん、へっちゃら、みたいな。
いやいや、もっと150円くらいまでは行くよ、ということを言うかもしれません。それくらいマーケットは怖いんだぞ、と。その程度であれば、介入する必要性すらないかな。デフレ脱却には、丁度いい湯加減だね、という人さえいるかもしれません。
更に売り込まれれば、180円くらいまで行くぞ、とか?そういえばかつて木村某だったか藤なんとかさんだったか、円暴落で200円とか言ってた人たちはいたかもしれんが、これまでのところ全然うそっぱちだったみたいですが。今の倍の180円にできたとして、日本が決定的に何か困ることってあるかな?輸入額は増えると思うけど、輸出が伸びるし、国内製品が有利になるからそんなに悪いということもないような。どうしても、そこまで売り込まれるのは嫌だという場合には、持ってる外貨準備高100兆円超のドルを売って円を買ってみればいいんじゃないか?98年のロシア危機の時、ドル円は僅か48時間で30円も円高になったらしいが、意外に乗り越えたらしいよ。

どっちが耐えられるか、というのことが試されていいんじゃないか。マーケットが本当に勝てるかな?

それに、円を売るって一口で言うけど、それは必ず「何かの通貨を買う」ということが伴うわけで。となると、数百兆円規模で日本円以外の通貨、ドルとかユーロが買い進まれる、ということになるわけだ。さて、そうなると、円安にはできるが、一方では何が起こるのかといえば、ドル高とかユーロ高が発生することになるだろう。そうすると、ドル高で苦しむ国々もそれなりに出てくるから、いつまでもそういう状態が継続できるか、疑問ではあるよね。かつて英ポンドはソロスに売りまくられたが、ああいう手が日本に通じるかどうか、試したいならやればいい。それは、例えば日本が持つ外貨準備のドル(部分的に米国債)を100兆円売って円を買うということを誘発する、ということだわな(笑)。


お)マーケットの影響を精緻に分析することが一番大事なんだ

どうも、マーケットのことを猛烈に信頼しているっぽいですが、昨年のバカ騒ぎが何の教訓にもなっていないようですね。はっきり言って、マーケットなんてのは危機的状況下では信頼なんてできないの。それは所詮「国、中央銀行」の庇護の下でしか、機能しなくなっちゃったじゃないの。マーケットが信頼するだのヘチマだのなんてものは、ある意味デマカセ。マーケットは混乱し、自暴自棄のようになり、メチャクチャな動きをし、自己破壊とシステム破壊さえもたらしそうになるというもので、理論的でも理性的でもなく、精緻に予測が可能なものでもない。むしろ、予測は極めて困難、というものだ。それが再認識されたのが、経済危機だったのではないかな?

それこそ世界中の「腕のいいトレーダーたち」(笑)が大挙して日夜研究し指標や指数などをくまなく調べ上げ、ありとあらゆる知恵を絞って分析し相場を張った結果が投資活動だったわけで、その連中が一斉にドツボにハマって市場が崩落したのが、世界同時経済危機だったんですよ。そんなに腕のいいトレーダーたちが揃って優秀なんだったら、どうして崩落なんかするのさ、という話なんだわ(笑)。それが気づけないほどに、マヌケなのかな、と。トレーダーたちが分析してたって、あんまり意味ないじゃん。つまり、マーケット、マーケットとか重大事みたいに連呼されるそのシロモノとは、案外と大したことのない、その程度のものでしかなかった、ということなんでは。


か)アメリカのFRBが行った政策とは、国債の買いオペ(笑)

いや、私も詳しくは知らないんだけどさ。
んだども、国債買いオペだけやったって、FRBのバランスシートさそっだらふとっちょになったりしねっぺ?ああっと、ごめんなさい。
しかしながら、普通に国債買いオペだけやっても、FRBのバランスシートはそんなに拡張したりしませんよね?ということです。
勿論、買いオペは初歩中の初歩だから、まあ、それをイの一番に挙げてくるのは判りますが、それは本質ではないはずです。他にも色々とあったはずでして。毒入り債券(笑)の買取とか、かなりやったはずです。


なんか、疲れてきたから、もういいや。




どうすれば、日本はデフレを脱却できるか?~その2

2009年11月10日 13時08分34秒 | 経済関連
①度重なる裏切り

何故、日本がここまで酷い状態が継続するようになってしまったのか、というと、幾度も政策が失敗してきたから、ということになるかと思います。一般庶民の感覚としては、「今度こそ景気が良くなり、自分の生活や暮らし向きも改善するだろう、賃金も増えて喜べるだろう」というような、淡い期待というものがあるわけです。それを達成してくれる政権こそが、「いい政府」ということです。

しかし、90年代中頃以降、バブル崩壊の後遺症かなと軽く考えていた多くの人々に、強烈なインパクトを与えることになってしまったわけです。この、今度こそ、というのが、裏切られました、また裏切られました、次も裏切られました、…という具合に、何度も何度も打ちのめされて裏切られ続けたわけです。人間というのは、こういうのを学習してしまうようにできているわけなんですよ。
97年ショックの後、ITバブルだとか、ヒルズ族バブルだとか、戦後最長の景気拡大だとか、そういうのが幾度か訪れましたが、悉く「ごく一部の連中」だけが豪遊するか、大企業取締役連中に大金が転がり込むだけで、他の人々には何の恩恵もやってこなかったんですよ。だから、期待するのを止めた、ということです。裏切られるに決まっているのだから、これ以上はしょうがない、と。後は自分の生活防衛に邁進するのみ、ということで、より一層財布の紐は固くなりガードは鉄壁になってゆくわけなんです。

脳とかの記憶などにも見られたりする長期増強、みたいなもんですかね。条件付け、といいますか、そういうようなもんです。

要するに、人々は強く学んでしまった、ということです。
「賃金は増えない」「将来(年金を含めて)入ってくる金は増えない」
というようなことを、です。

だから、住宅購入を控える、車も控える、高額商品も控える、デパートで買い物も控える、…あらゆるものを控える、という方向に行くようになったわけなんですよ。で、貯金しよう、と。これで、消費が回復するわけがない。


②失われた20年で「難治性」となってしまった

人々は、こうして何度も裏切られたことによって、ある種の増強効果を受けたようなものなのです。
例えば「ある年の賃金は200万円」ということで、次の年には「202万円になるかな?」という淡い期待を持っていたらやっぱり「200万円」で、景気が良くなってきたかと思えば原油高なんかで「198万円」と逆に引下げられてしまい、あー、これが現実なんだな、終わったな、みたいなもんです。毎年毎年、連続で200万円―200万円―200万円ということであると、それは(名目値の)伸び率がゼロですわな。だけど、200万円―198万円―196万円と減ってきていたとしたら、あと5年経った時の予想はどうなっていると思いますか?

普通なら194、192、190、188、186、という具合になってしまって、「ああ、きっと減ってるだろうな」という予測が強化されてしまうんですよ。つまり「名目値が上がっているはず」という予想を抱くことが困難になってしまっている、ということなんです。こうして「持続的に下がる」というのを強化した、長期間に渡り増強した、ということ自体が、「難治性」を極端に高めてしまったのだ、ということです。こうした「持続的に下がる」という予想と人々の親和性を高めてしまった結果、普通の方法ではこれを改めることができなくなってしまったということなんです。ここまで増強されていない状態であれば、普通の政策手段であっても脱出できる可能性は高まるのです。

しかし、日本は違った。
まさに、「慢性疼痛」のようなものなんですよ。
慢性疼痛というのも、きちんと治療できてないと痛み刺激は酷くなっていき、普通の鎮痛剤なんかでは効かない、というようなことになりかねないのです。痛みは増幅される、疼痛範囲は拡大する、というように酷くなっていくのです。
これまでには痛みとして感じなかったような、ずっと弱い刺激すら強く痛みを感じるようになってしまう、というようなことになるわけなんですよ。度重なる裏切り、は、この増強効果とほぼ同じだったのです。

更には、国民は「痛みに耐えよ」というのを日銀にも政府にも強要された挙句に、痛みの先に待っていたのは鎮痛とか改善ではなく、もっと酷い強烈な痛みだったのですよ。

だから、デフレ圧力は、かつてないほどの強力な下落となっているのですよ。
以前だと、公務員の給料なんかがここまで引き下げられたことなどありませんでしたからね。まあ、やるのであれば、日銀の役員ボーナスを全額カットとか、幹部職員は半額カットとか、それくらいはやった方がいいのかもしれませんが(笑)。

酷い慢性疼痛が継続していると、普通の治療法では中々痛みを軽減することが難しくなってゆきます。鎮痛剤を飲んでもまるで効き目がない、というのは珍しくないですよ。もっと強力な鎮痛剤が必要になるとか、モルヒネが必要とか、そういうこともあるのです。

(日銀の誰だったか忘れましたが、福井さんか白川総裁だったか、利下げとか金融緩和策がマリファナだかモルヒネみたいなもんだ、とか言ってたような気がする。そういうことを言う連中には、気絶しようが何だろうが、麻酔せずに手術でもしてあげるといいかも。日銀総裁あたりになると、心頭滅却すれば、きっと痛みに耐えられるはずだろう(笑)。)

帯状疱疹というウイルス感染症がありますが、この病気に見られるのが神経痛なんですよ。帯状疱疹後神経痛と呼ばれており、初期の痛みにきちんと対処しないと難治性の疼痛となることが知られています。経過時間が長くなればなるほど、余計に治療が難しくなる、ということなんです。だから、初期に正しく治療をしておくことが大事なんですね。


③難治性疼痛の治療法は普通とは違う

失われた10年なり20年で既に過ぎ去った時間は戻ってこない。だから、初期の疼痛にどうして治療しなかったのだ、放置してきたのは何故なのかということを、今ここで責めてみても解決にならない。けれど、患者(日本経済、日本国民)が痛いよ、と散々言っていたにも関わらず、症状を見過ごしてきたり診断を誤ったり治療せずに無責任に放置してきたのは、自分なんだ、ということを自覚するべきだ。そこから出発するべきだ。何か手を打っても、「治療効果がないじゃないか」というのは、既にそういう時期を通り過ぎてしまっているからだ。強い慢性疼痛になっているのに、「ハイ、これ鎮痛剤、飲めば鎮痛効果が得られます」と言っても、「全然効かないじゃないか」というのは当たり前なんだよ。

こういう時、「鎮痛剤には鎮痛効果がある、これ常識、教科書に書いてあるじゃないか」とか言う主張は、意味がないよ。「鎮痛剤投与はこれこれの薬理作用及び薬理効果があります」というのは、確かに常識だわ。間違いじゃない。だけど、「全然効かないじゃないか」ということには、別な理由とかが原因があるからであって、外見上「全然効き目がない」ということが「鎮痛剤の薬理効果が間違いだ」とか「教科書に書いてある鎮痛剤の効果を否定する」ということにはならないのは当然だ。それなのに、「間違いだと言うのか!」「効果を否定する気か!」とか、言い出すバカがいるのは何故なのかな、とは思う。そうじゃないでしょ。「全然効かないじゃないか」ということの中身とか意味を理解してない凡人だから、そういうことを言うんだよ。

鎮痛剤を飲ませているのに、どうして効かなかったのか、ということを考えるのが学問なんでしょ。

他のもっと強力なモルヒネとかを使うか、神経ブロックをするか、温泉療法も使ってみるか、などということを考える、ということだよ。鎮痛剤が効かない=薬理作用を否定、というのを意味するわけじゃないんだから。アホか。体質などの個体差か、投与量が量的に少なかったのか、他の薬剤併用による減弱なのか、そういうことも同時に考えるでしょ。

ある政策について、効果がなかった、十分ではなかった、というのは、本来的に効果を有していない、ということを意味しない。その局面においては、「効果がなかった、十分ではなかった」だけ。じゃあ、どうするのさ、というのを考える仕事こそ、政策担当者のやるべきことなんじゃないのか?

そもそも、ここまで病状を悪化させたのは誰だと思うか?モルヒネなしでは鎮痛できなくなってしまうほどに、激しい疼痛を放置し続けてきたのはのは、国民のせいか?


④日本のデフレには強力な鎮痛が必要

普通の状態であると、ある発痛物質Xが100で電流が発生し、脳に伝えるものとしよう。この場合、物質Xが98とか99では、刺激電流が発生しないので、脳には「痛みとして感知されない」ということ。感じる痛みの強度を、5と表現することにしよう。

日本のデフレ状況というのは、どうなるかというのを書いてみるよ。
長期増強によって発痛物質Xが90で痛みを感じるようになり(閾値の低下)、これが継続された為もっと低刺激である50でも痛みを感知するようになってしまった。しかも痛み強度は、以前には5だったのに、今度は10になってしまったのである。痛みの程度が、以前にはXが100で5の痛みだったものが、今はXが僅か50でさえ10の強さの痛みを感じてしまう、ということである。痛さは倍増、ということだ。これが慢性疼痛の難治性を招くのだ。前は、98でも痛くなかったのに、だ。

しかも痛み強度は、かつては鎮痛剤で5から2とか1くらいに軽減できたものが、今は10の痛みが9くらいには下がるかもしれないが、殆ど「効いてません」という感触しかない、ということですわな。こんなの当たり前だっての。鎮痛剤に効果がない、のではない。鎮痛には不十分過ぎる、ということである。あまりに弱々しい効果しか発揮されていません、ということである。これまで日銀のやってきた政策の多くは、そういうことだ。言ってみれば、伝統的(金利調節等)政策=経口鎮痛剤、非伝統的政策は他の治療法、ということだな。

社会全体にデフレとの親和性が高まってしまっているので、普通の鎮痛剤くらいじゃ話にならないわけです。そうすると、通常では用いないような手段といえども、取らざるを得ないということです。国民は、普通では考えられないほどに、じっと痛みに耐えてきたのですよ。これが他の国だったら、暴動とか政府転覆騒動になっていてもおかしくないくらいに、殆どの国民は痛みを堪えていつかは報われるはずだと信じてやってきたんですよ。常に耐え続けた。これがかえって良くなかったんですよ。耐えられるからこそ、企業側が賃金を切り下げてくるわけで。我慢に我慢を重ねたことが、賃金引下げを容易にしてしまった。余計にデフレ圧力となってしまったんです。他国であれば我慢の限界がもっと低いので、ここまで耐えたりはしないということ。



いずれにせよ、名目賃金が上がってゆき、これまでは毎回期待の「裏切り」だったものを、「今年も上がりました」「次の年もまた上がりました」「その次も上がりました」という風に、過去の裏切りとは全く逆の条件付けを行うことによって、「○年後の賃金は、きっと上がっているであろう」という期待(予測)を持たせることが大事なのだ、ということです。これが達成されたなら、現在持ってるお金を貯めておくよりも、使う方という消費拡大効果が出てくるでしょう。



どうすれば、日本はデフレを脱却できるか?~その1

2009年11月10日 10時01分58秒 | 経済関連
結論から書けば、賃金を上げる、これに賭けるべきと個人的には思います。
これらは、既に書いた通りです。

資料その1:異常な経済運営が続く国~ニッポン


賃金を上げることで、将来予測をこれまでと変えさせる、ということに他なりません。その為には、着実に上がってゆく賃金、ということが必要なのです。それによって企業経営が困る、ということなら、「価格転嫁して下さい」ということを求めるよりありません。最低賃金引上げ問題も関係するのですが、これで失業が増加する、ということが言われますよね。ここをどうクリアするか、ということなんですが、日本全体で「一斉に上げる」ということをやってみるよりありません。誰かが上げて、誰かは上げずに「給料を削る」ことで仕事を取ろうとするからダメなんですよ。それを封じることが必要。

なので、「公務員は給料が高すぎるからダメなんだ、民間に比べて高すぎる、だから人件費2割カット」という政策が一番デフレ強化策になってしまうのですよ。これも何度も言いましたが。そうじゃない。公務員の給料が高すぎて引き下げろ、となるんじゃなくて、もし高すぎるというのなら、「公務員以外全員の給料を引き上げればいい」ということなんですよ。下げるのではない。給料を引き上げるのです。

そうすると、物価上昇は戻ってくる可能性は高くなりますよ。
一人当たり名目賃金とCPIの動きは連動を示すかのように、とても似た動きを示します。これは日本以外でも起こっています。名目賃金上昇率がプラスで、数%程度の上昇率があれば、同じように物価上昇率も上がる傾向にある、ということです。これを利用してみましょう、という提案です。上の「資料その1」に書いた記事中で、1)の項に示した日銀資料の2番目のペーパーの図表16を見て下さい。

つまり、名目賃金上昇率を上げる→物価上がる、という方向に誘導しよう、ということです。

それにも増して重要なのは、将来の「所得が増えているであろう」という期待というか予測を強化することに繋がる、ということです。家計の予想が、これまでの失われた期間においては、殆どが「裏切られてきた」、すなわち、賃金は伸びなかった、という幻滅がとても強くなってしまっているのです。企業業績が回復したり株主配当が増えたのに給料は増えなかった、景気回復だの拡大だのとか言っても増えなかった、ということが、余計に人々の予想をシビアなものにしてしまった、ということです。

これを払拭するには、かなり強い手段を用いないと難しいのではないかと思います。
そこで、5年後、10年後には「自分の所得が増えているだろう」という予測というか期待を強化できるように、賃金を上げるよりない。

これまでは、景気拡大局面であるのに「変わらず」が連続し、逆に「下がる」が度々起こってしまったわけで、上がる場面というのが全然ないわけですから、これで「5年後には多分給料が上がっているだろう」という予測を持て、といっても無理ですよ。過去の経験則が全て破壊されてしまったので、「上がる」というのが当たり前になるくらいに続けないと、多分上がるだろう、という予測を持つことは困難でしょう。2000年に10万円だったら、05年には11万円に、2010年には12万円に、という風に、上がっているのが当たり前なのに、これまでの日本では、下がってしまったということなのですから。

もし公務員の給料が高すぎるというのなら、民間に並ぶまで据え置きで上げなければいい(笑)。どうしても、そうしたいというのなら、しょうがないわな。年金受給者のアップについても、上げ幅を小さくするよりない。物価スライドがあるから、まあ何だが。こうすることによって、現役世代の所得が増加し、年金世代は相対的に減るけれども、所得増によって税収は増えることになるだろう。


名目賃金上昇率、名目GDP成長率が数年連続でプラスになっていくことが達成されたら、消費税上げなどの税制改革などに着手するということになるでしょう。目安としては、名目GDP成長率が少なくとも3%以上、できれば4%以上の数字になってから引き上げの方がいいと思いますが、どうでしょうか。

ですので、どうやってインフレにするのか、というのは、簡単に言うなら「賃金引上げ」を行わせる、ということです。


因みに、製造業は成り立たない、とか言う人もいるかもしれません。
けど、日本の国内賃金が仮に10万円から20万円になったとしても、経済の諸要因が変化がないのであれば、例えばドル表示の賃金に変化はないということになるので、インフレ率だけで数字が大きくなるのであればその分為替での変動が起こり、ドル換算値は変わらないということになるのでは。
例えば、ドル円が1ドル100円の時に賃金が10万円であれば、ドル換算値は1000ドルです。これが20万円になったとして、実質的に変化してないということなら20万円=1000ドルということですから、為替は1ドル200円ということになっているはずです。つまり、円安が達成されているはずだろう、ということです。国内賃金をいくら引き上げたとしても、輸出国と輸入国の間で実質的な経済環境に大きな違いを生ずるわけでないのなら、外見的には変化はない、ということになるのでは。

だって、仮にジンバブエみたいな経済が生じたとして、ジンバブエ国内で賃金がうなぎのぼり(国内通貨表示で)になっていたとしたって、別に、それが海外への輸出品価格に全部反映されてしまう、みたいなことってないでしょう?為替レートで調整されちゃうだけ。
だから、日本国内の賃金を上げたからといって、それで輸出産業は全滅する、とかいうことにはならないはず。インフレ率が高くなると、普通であれば為替が円安側に行くことが多くなるはずです。一般的には、高インフレ率の国の通貨が安くなる、ということですから。なので、仮に賃金を引き上げてインフレ率が高まって名目賃金上昇→(輸出)物価上昇を招いたとしても、為替が円安になることで結果的には「あまり変わらない」ということになるはずだもん。


紙幣を印刷しても、インフレ率が高くなってこなかったじゃないか、という話も、以前にちょっと書いた。

資料その2:「流動性の罠」と緩衝系としての国債


米国FRBのバランスシート拡張の話とか。

資料その3:米国のジャブジャブ度(笑)は桁外れ?


あるとするなら、日銀の紙幣の印刷量が「まだまだ全然足りない」という可能性は考えられる。その場合、「もっとやれ!もっとやれ!」ということはあるだろうけど、中銀の金庫の札束と市中銀行の金庫の札束を、コストの障壁とかなく直結したとしても、日本ではあんまり効果が出なかった(お札が市中銀行の金庫から出て、人々の財布などに行くようにはならなかった、ということかな)、というのは量的緩和政策の実施で何となく判った、ということかと。


印刷だけして金庫に積んでおいても効果が十分ではなかった、ということであると、直接人々の財布に金を届けるのが「賃金引上げ」という法法である。いきなり、市中に出す、これをやるということ。しかも、ドーンとではなく、じわじわっと、お届けします、ということです。