いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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09年日本シリーズの総括

2009年11月08日 17時11分03秒 | いいことないかな
敗戦のショックから立ち直れず(笑)、昨夜はちょっと真っ白になってしまって、廃人のように虚脱状態になってしまったので書けなかったが、一夜明けたので、ちょっと書いてみたいと思う。

ハムが敗れたのは残念だったが、よくここまで戦ってくれた。有難うと言いたい。
何と言っても、球界の盟主たる巨人を相手に日本シリーズを挑めたし、興行的にもまずまずの成功を納めたのではなかろうか、と(笑)。
それでは、反省などを含めて、個人的感想などを述べてみたい。


①巨人、日ハムの戦力は互角

はっきり言って、ジャイアンツに戦力の不満などあるわけがない。
小笠原だって、ハムから奪っていったようなもんだしな(笑、冗談だよ)。マイケルだって、ジャイアンツに行っちゃったじゃないか。ジャイアンツの補強、とかって、豊田、クルーン、マイケル中村と、他球団の抑えのエースだった選手を集めてきているのだから、そりゃあ戦力が整うのは当然だわな。グライシンガーはシリーズに登板しなかったが、中核となった主力選手は、ゴンザレス、オビスポ、ラミレス、李、小笠原、谷、ら、要するに「獲ってきた選手」ばかり、ということだから(笑)。

今回活躍した選手の中には、育成枠から上がってきた(松本、山口など)がいる、というのは事実であるが、だからといって生え抜きが主力かというと、そうでもないのだ。言ってみれば、強力な傭兵部隊を編成しているようなものだ、ということ。これで勝てない、なんていう文句を言うのは、そもそもどうかしている、ということになるかな(笑)。逆に言えば、勝って当たり前、ということだ。

6試合の奪った得点と、安打数、本塁打数で見ると、巨人は22得点、50本、8HRだったが、日ハムは21得点、54本、7HRと全く遜色なくほぼ互角だった。投手力は、相手側の奪った得点ということになるので、要するに、投打ともに互角の戦いと言っていい、ということだ。つまりは、1試合平均得点・失点というのが、ほんの僅差の中での戦い、ということで、約3.6~3.7点台の大接戦だった、ということ。勝敗は決してしまったが、運命の女神の気まぐれでどちらに転んでも不思議ではなかった、という勝負だったのですよ。

日ハムの選手たちは、それくらい能力を高めたのだというのは誇っていいと思う。
あの「金で選手を集めてくる」(笑)巨人と、対等に戦える戦力を持つのだ、ということです。これって凄いことなんですよ。


②細かい野球

今回のシリーズでは、日本の野球の精度がステップアップしたことを示す戦いであったのではないかな、と思います。昔みたいに、大エース、大打者、といった特定のごく一部のスーパー能力を有する主力選手に頼って戦えば、勝てるとか結果が出るというような単純な試合ではなくなってきた、ということかもしれません。

たとえば、守備や走塁という部分の重要度が以前よりも増していると思います。
チームとしての戦い方、戦術、駆け引きなど、細かい部分が要求されるようになっています。大味な試合は少なくなり、緊迫した展開の試合ということになるのです。

日ハムの投手力では、先発陣は日本球界のエース級と言われるダルビッシュ以外で見ると、左トリオはよく投げたと思います。勝、八木、藤井は、その役割を果たしたと思います。巨人優勝となってしまった昨日の試合にしても、勝は2点目の失点は別としてよく投げていました。巨人打線は中日投手陣を打ち砕くほどの攻撃力を持っていましたから、ハムの先発陣はよく耐えて投げていたと言えます。左の好投手であるチェンも攻略されたくらいですからね。絶大な力を持つわけではないとしても、トリオが投げた4試合(勝が2試合なので)で6失点ですから、これも中々の成績なんですよ。それほど、よく投げていた、ということです。


③勝敗を分けたポイントはどこか?

日ハムにいくつかのミスが出た、というのは、その通りかと思います。でも、巨人にも出ていたので、これが決定的というのは判りません。振り返って考えてみると、継投策と攻めの気持ち、というあたりが思い浮かびます。

判断の難しい面はあるかと思いますが、分岐点はやはり第4戦の8回裏の継投策、ということになるかと思います。

日ハム1勝2敗で迎えた第4戦。
集中打などで順調に得点し終盤の7、8回にも加点できていたので、ほぼ楽勝ムードでした。
ハム8-1の7点リードでの8回裏巨人の攻撃。
多分シーズン中なら、登板機会の少ない誰かに投げさせていたところかな、と思いますが、この日は何故か磐石を期して?金森をマウンドへ送ったのです。8回表に2点追加できた後でしたから、敢えて金森じゃなくても良かったのです。

菊地が残っていれば菊地でも良かったのかもしれませんが、前の登板で力み過ぎて、あまり良くなかったこともあり、別な人をということもあったのでしょう。相手を乗せないように、という配慮もあったかもしれません。

ですが、思いもよらぬ展開になったのでした。
1アウト後にショートゴロエラーからランナーを許し、ヒットで繋がれ1、2塁。ここでラミレス登場で、3点HRを叩き込みました。その後、金森から林にスイッチして、最後は久だったのですが、この時の流れがこれまでの継投の感じを「少し悪くした」ということはありました。

問題点が2つありました。
金森が打たれた、ということ。
もう一つは、久を登板させてしまったこと、でした。

第5戦で好投の藤井を7回で建山にスイッチしましたが、これまでの流れで言えば勝ちゲームの終盤は、金森、宮西というパターンが多かったわけです。しかしながら、前日に金森を使ってしまい、尚且つ3ランを打たれてしまっていたことから気落ちするなどのメンタル面の変化があったりとか、首脳陣の投手起用法に若干ながら影響を与えたということはあったのだろうと思います。
なので、建山を8回から登板させたのでした。シリーズ後半になって、そんなに内容が悪かったわけでもなかったので、建山起用は普通だったろうと思いますけれども、死球を与えてしまったことで「イヤな雰囲気」が頭をよぎるという結果になったのではないかと思います。

これがもし金森であったなら、一塁にランナーを出されても投手を替えなかったかもしれません。左の代打を出されてもベンチが動かず、続投という選択はあったのかもしれない、ということです。そうすると、大道が出てくることもなかったでしょう。けれども、建山だったので林に継投を選択し、結果的には牽制悪送球で3塁に行かれてしまって、同点打を浴びました。


もう一つの点は、久が第4戦に登板し、この時にも2安打されてしまったのですね。小笠原が2塁でアウトになって運良くゲームセットにはなったものの、巨人サイドでは「久から打てた」という事実は脳に刻まれました。それと、第4戦での登板になってしまった為に、久は連投と球数が増えるという結果になったわけです。これが思わぬ落とし穴の伏線になってしまった可能性があります。

ですので、怖さはあるし、苦しいという事情もあるけれど、第4戦では8回、9回を金森、久の温存に賭けることができたなら、その後の展開には違いがあったかもしれません。
原巨人が、山口はハム打線に割りと打たれてしまって得点を奪われたにも関わらず、その後にも続けて登板させてきたことを思うと、第4戦の8回以降の継投から、投手起用に迷いのような部分が生じてしまったんじゃないだろうか、と思えたのです。


④攻めの気持ち~盗塁、走塁

別のポイントとしては、第5戦でサヨナラ勝ちを呼び込んだ8回裏の巨人の攻撃でした。
代打李が建山に死球を受けて代走鈴木を出して、勝負に来たわけです。あそこは当然代走になりますけれども、果敢にチャレンジしました。初球から仕掛けてきたわけですよ。これは負けてるチームの「リスクを取らねば勝利はない」という信念のような、攻める姿勢と気持ちがよく出ていました。これが結果的には奏功してノーアウト2塁となり、坂本が送れずに終わりましたが、その後に3塁に進めたので大道の同点打が出たわけです。

似たような第6戦の8回裏の日ハムの攻撃では、4番高橋がノーアウトで出塁しましたが、後続を断たれて無得点に終わってしまいました。負けてるチームの作戦としてどうなのか、ということはあるかもしれません。代走を出して揺さぶるとか、盗塁させ攻略に賭けるという判断はあったのではないかと思いますが、これといった策はなく無得点に終わったのです。
ここに「1点を取りにいく野球」がどうだったか、と。結果的にサヨナラ勝ちを呼び込んだ巨人の「代走の初球盗塁」と、安打を多数放ちながら無得点に封じられたハム。
負けている時に、局面を打開するには何らかの手を使わないと難しい場合というのがあるのだな、ということを感じました。ある種のギャンブルですので、うまく行けば「いい采配」、失敗すれば「采配ミス」ということになるのですが、でも、勝ちに行くことが必要な場面ではリスクに挑戦しないと切り拓けないこともある、ということかな、と。

ハム側も、第4戦で賢介が見事な3盗を決めて、勝負に出たことが試合を動かしたというのがありました。第6戦で賢介のノーアウトでの出塁が度々ありながら攻略・得点できなかったのですから、何らかの打開策とか果敢に盗塁させるなどの手があっても良かったかもしれません。7回にゲッツーに終わったのがいい例ですね。結局、7回、8回とノーアウトのランナーを出しながら、負けている側の取る作戦としてはどうだったかな、ということはあるかもしれません。

第6戦で貴重な先制点を呼び込んだ亀井の3塁への走塁や松本の足など、積極果敢な姿勢が勝敗に結びつくという面を示していたものと思います。やはり、走塁や盗塁というのは、野球というゲームの中では、非常に重要な要素なのだ、ということが改めて確認されたのではないかと思います。