いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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異常な経済運営が続く国~ニッポン

2009年01月31日 17時31分30秒 | 経済関連
どうしてこの異常さが真剣に考えられないのか?
それは、何度も言うが周囲の人間の多くがおかしいからだ。コアとなっている連中、その取り巻き連中、そういうのが一致して異常な政策を支持しているからだ。

コアとなっている人間とは誰か?
政府や日銀の偉い人たちだ。そういう連中の理論的支えになる学者なんかもそうだろう。あとは主な政策担当者たちだ。

取り巻き連中とは誰か?
政財界の偉い人たちやマスコミ関連の人たちだ。評論家連中なんかもそうだ。

こういう連中が、寄ってたかって「誤った意思決定」に加担し、世の中に害悪を撒き散らしてゆくわけだ。そうしてとんでもない方向へと突っ走る原動力を生み出すのだ。しかもこういう手合いの一番困ることは、彼らが「自分たちの意見は正しい」ということを徹底して盲信していることだ。そこそこの知的水準の高くない人たちであると、自分の自信みたいなものがそんなには持っていないので、大勢に理屈をこねて間違った意見を言おうとしたりはしない。だから、実害は殆ど少ないのだ。

しかし、コアと取り巻きの多くが「俺様は賢い、偉い、頭いい」みたいに猛烈に信じているようなので、裏付けのない自信家っぽくて、自信満々で間違った意見を流布し続けるのだ。これは国会議員さんたちの傍若無人な意見や主張というものにも共通するものだ。なので、本格的に手に負えないのである。

いい加減に目覚めなさい。


1)90年代の実質賃金上昇は何故起こったか?

それまでの企業経営者たちの多くは、概ね慣行に基づいて賃金水準が決められていった。ところが、95年の超円高(ドル円の80円割れ)になって以降、日本にはデフレの足音が着実に迫ってきており、後半になると97~98年のショック時期が重なったりして、デフレに陥ったのである。従って、名目賃金は引下げが起こりつつあったが、そもそもは物価上昇率が低すぎた為に名目賃金引下げが起こったにも関わらず実質賃金が高止まりすることになってしまったのである。

http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2003/kk22-4-4.pdf

この日銀ペーパー(黒田・山本、2003)では、インフレ率が2.4%水準以上であると名目賃金の下方硬直性があったとしても、その効果が緩和されると述べられている。以前の日銀が論争の時に言い訳したところによれば、「名目賃金の下方硬直性はあまり大きくない」(*1)というご意見だったと思う。なので、この2.4%水準のインフレ率が絶対的な正当性を持つものというわけではないが、普通に考えて賃金調節は行い易くなるであろうことは想像できる。なので、インフレ率の数字が2.4%という基準に強く拘泥せずともよいが、そういうインフレ率の達成ができなくなって以降に、実質賃金上昇を結果的に招いてしまったと言い換えることはできるだろう。

(*1):因みに、「名目賃金が下がらない(下げられない)という既得権益」のせいで実質賃金が高く、そういう権益を守るから非正規労働者たちにシワ寄せが行き、そして失業が増える、という理屈を滔々と述べる人がいる。そういう人たちは、きっと日銀の言い分をすぐさま粉砕してくれることだろう。名目賃金の下方硬直性という、教科書的お題目がどの程度通用しているか、きっとよくご存知なのだろうから。名目賃金の下方硬直性があまりない、ということになれば、それは正規雇用も含めて賃金引下げを受け入れて賃金調節が起こっているということであり、すると、賃金が下げられないから失業が多いんだ、という理路が破綻するということを知るだろう(笑)。


実質賃金等の参考資料はこちら>
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/data/mpo0603a.pdf


この記事(デフレ期待は何故形成されたのか・3)を書いた時に、賃金水準の問題というのを取り上げた。

ここで紹介したESRI のペーパー(牛嶋、2004)では、デフレへの影響としては賃金水準の低下ということがあったわけで、これは97年以降の賃金引下げという現象とおおよそ整合的ではある。


元を辿れば、どういうことかはっきり判るはずだ。
「インフレ率が低下したこと」だ。
名目賃金というのはそれまでの慣性があって、直ぐには下がっていなかった。名目金利についても、金融緩和策が不十分で下がるのが遅れたのだ。

例えば名目賃金上昇率が一定で年に3%だったとしよう。
インフレ率がそれまで2%だったのなら、実質賃金上昇率は1%に過ぎない。ところが、名目賃金上昇率をそれまでと同じように設定していても(年功序列賃金的に上がってゆく制度にほぼ近い)、3%の名目値はインフレ率が1%に低下すると実質賃金上昇率が2%に増加してしまう、ということなのだ。これは名目金利でも同じく説明される。名目金利が3%で一定であったら、インフレ率が2%から1%に下がることによって実質金利は1%→2%に増加してしまうのである。

だから、日銀をはじめとする経済運営担当の失敗、ということでもあるのですよ。
低すぎるインフレ率を招来してしまったが故に、実質賃金が増大し実質金利も高くなり、借金の負担だけが重くなったということなのですよ。それを苦にした企業の多くは、借金を返そうと必死になったわけです。賃金も引下げなければならない、と思って、死に物狂いでリストラに励んだりしたわけですよ。

答えは既に出ていたのです。

◎インフレ率が低すぎた

ということです。
で、概ね2.4%以上のインフレ率が保たれていれば、賃金の下方硬直性があってもこの影響をほぼ失わせることができる=過大な実質賃金上昇を招くことはなかったかもしれない、ということです。すなわち、実質賃金上昇を抑制する為のリストラ等の実業率アップも緩和されていたかもしれない、ということです。


2)デフレが良いなら、永続すればいい

本当にデフレが経済にとって良い(望ましい)状態なのだ、ということが正しいとしましょうか。

ならばお尋ねします。
本当にデフレが良い経済環境なのであれば、これを持続させた方がいいですよね?
当たり前でしょう?これに反対はしませんでしょう?

するとですね、今年も来年もデフレが続く、ということになります。次の年も、次の年も、…永続するわけですよ。このままいくと、長期的には、この経済はどうなっていると思いますか?

一応、頭の悪い「デフレは正しい」とか「良いデフレ」とか戯言を言う人たちの為に、私の予想をお教え致しましょう。
デフレが持続すると、経済は破綻します。必ず、長期的には破滅します。

だって、考えてもみてごらんなさいな。
今年貰った給料が100だとすると、次の年には99に、次は98に、という具合に減ってゆくのですからね。いずれ、完全に消滅し、ゼロになってしまうでしょう。そんな環境下で生存できる人間なんていやしませんぜ(参考:デフレは生存を脅かす)。

経済成長率もインフレ率も、一定の変化であるとしますか。実質成長率が2%、インフレ率が-3%で一定であると、名目成長率は2-3=-1%ということになるのです。

これをどこまでも長期に継続すると、名目値は毎年1%ずつ減少してゆくことになるのです。今年100の賃金は翌期には99に、次は98に、と減ってゆくわけですから、これはいつかはゼロに到達するでしょう(本当は1%なので、1減るのではなく0.99減るから98.1だけど。ま、大体ということで)。ですから、デフレが正しいという人たちは、これを達成させるということに他ならないわけです。そんなバカな話があると思いますか?
「良かったね、実質成長が2%もあって」
と言われて、報酬の米粒がゼロ(石高がゼロでもいいけど)とかになることを受け入れろと?(笑)

たまたまデフレに陥ってしまったよ、失敗しちゃったね、ということなら、まだ話は判ります。一時的な落ち込みなのですから、そういう事故みたいな時だってあるかもしれませんよ。そうではなくて、持続するデフレは生存を脅かす異常事態なのだ、という危機意識があまりに乏しいと言ってるのです。


3)じゃあ、どうしたらいいの?

まず、目覚めて下さい。
経済界のお偉方は、これまで日銀とか腐れエコノミストの言うことばかりを信じ込んでいるからこそ、こんな有様なのですよ。政治家もそうです。無能な鈍感が多すぎるのです。根本的に間違っている部分をまず改めるより他にはありません。

はっきり言えば、俺に任せてくれ。

と言いたいところだが、それは無理な話なので(笑)、基本中の基本である

名目成長率=実質成長率+インフレ率

ということに忠実になることです。インフレ率を高めることをできないと、いつまで経っても「デフレの罠」からは抜けられないのですよ。これまでに、値段を下げないと売れない、とか信じ込まれてきましたが、物価上昇が止まる転換期になったのは90年頃のバブル期です。あの痛恨を引きずっているのです。これを忘れましょう。

今の日本経済は実質GDPはざっと565兆円、名目GDPは(異常なデフレだったせいで)515兆円程度しかありません。乖離幅はざっとですけど、45~50兆円規模です。これはどういうことかと言いますと、毎年の名目成長率が3%で実質成長率が1%(つまりインフレ率は2%)であったとしても、名目GDPが実質値に追いつくまでに5年くらいかかってしまうのです。そりゃまあそうですわな。90年代から長期間に渡り、ディスインフレもしくはデフレを継続してきたわけですからね。日銀の資料のグラフをじっくりと見てみたらいいですよ。

で、経済界のマヌケ経営者たちにはよく判らないかもしれませんが、賃金上昇を義務化でもしないと無理でしょうな。
かつての年功的賃金体系やベースアップなどの賃金上昇圧力が消滅した結果、デフレを悪化させたのだ。社会全体で見れば、名目賃金引下げ、安売りと過剰なまでの経費削減圧力、そういうのを強要した結果、物価下落の連続と低成長を招いた。これが「国内市場では利益がでない」という構造を固定化していった。若年層の購買力を悉く奪った。
賃金低下は、経済界の雇用や賃金に対する大きな変革の影響が出た結果でもあった。これこそが、非正規雇用の拡大、企業負担の削減、という2本柱だろう。

彼らの言い分を通したせいで、日本の経済構造は脆弱となったわけだよ。もしも輸出企業が助かりたいと思っているなら、インフレ率を高くすることに同意することだな。これには、物価上昇圧力が欠かせない。物価が何故上がるかといえば、賃金が上がるという大きな要因があるからだ。これが継続してゆくと、日本だけ円高が進んでいくということは''自然に''緩和されるだろう。インフレ率(つまりは金利水準ということでもある)を通じて、為替水準の調節も働くだろうからである。

なので、当面は名目GDPが逆転できるまでは金融緩和策が必要であり、それは前から書いているように国債買入増額という手を使うべきだろう。財政赤字を拡大するには制約が大きいということであるなら、退蔵されている国債を掘り起こして通貨に置換し、供給を増やし続けるよりない。

かつてのどん底期であった03年春には、東証で日経平均が7600円割れとなってバブル後最安値をつけ、JGBは指標金利ですら0.5%まで落ち込んだ。そのくらい落ち込んだら、0.5%の国債を持つよりも、リスクのある投資に振り向けてみてもいいかな、と思うようになっただけだ。それくらい臆病なのだよ、日本というのは。

だから、尋常な手法だけでは、抜け出すことなど難しくなってしまっていると思うよ。
どちらかといえば、「無理矢理にでも上げる」くらいの意気込みとか勢いがないと、そう簡単には抜け出せないように思う。その為に、賃金引上げと消費税アップを使うなら使えばいい。見かけ上の価格上昇が起こるのは間違いないが、その時に賃金が上がっていくことと分配を強化することで緩和されうる。極端に言えば、増税幅以上に可処分所得が増加していれば消費に回されるのではないかと思う。

繰り返し言っておくが、増税は「財政赤字の返済に回す」為ではない。借金を返済したければ、他の削減を考えるべき、ということ。因みに、名目GDPが順調に大きくなってゆく時には、税収が増加するので財政収支にはプラスに作用するから。それに対GDP比が自動的に圧縮されてゆくので、債務返済負担は軽減される。例えば大阪みたいな「借金大国」(笑、橋本知事のシバキはいらなくなるよ)の自治体こそ、この効果が大きく出るはずだ。



疲れたので、とりあえず。

この続きは改めて。



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