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このページを含むグループ→ *嫉妬は狐色に妬く
人間の思考も行動も実はすべて情念に発し情念に導かれる。誰にも共通した最も普遍的な情念は嫉妬である。人間性をとことん煮つめ煎(せん)じつめたら最後にどす黒い嫉妬の塊が残る。
◆嫉妬(しっと)
『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p49 )
隣の貧乏、鴨(かも)の味、という。牛(ぎゅう)を遠ざけて鶏(とり)ばかり食っていた時代、鴨は特別の御馳走(ごちそう)であった。ことほど左様に隣人の不幸は喜ばしい。その逆となった場合を、隣に蔵立ちゃ儂(わし)ゃ腹が立つ、と表現する。自分に近しい者であればあるほど、その人間の栄達は居ても立ってもおられぬほど不愉快である。もともと同じ道をゆく競争相手の出世が面白くないのは当然であろう。その人は自分が手にすることができたかもしれない獲物(えもの)を奪ったと感じられるのだから、当方には悲しい被害者としての実感が湧(わ)きおこる。しかし当初は自分の周辺で幸福な状態にある者に向けられていた妬(ねた)みが、次第に膨張して洪水のようにますます広い範囲へと及んでゆく。自分とはなんの縁(えにし)もないけれど世に時めく人気者や高位にあって輝く者が燗(かん)に障(さわ)る。身分がとても獲得できないと頭から解(わか)っているような自分と懸け離れた地位に着いている者に対しても、この世にそんな奴(やつ)がいるというだけで無性に腹が立つ。消えてなくなれと烈(はげ)しく念じる。
人間の思考も行動も実はすべて情念に発し情念に導かれる。誰にも共通した最も普遍的な情念は嫉妬である。人間性をとことん煮つめ煎(せん)じつめたら最後にどす黒い嫉妬の塊が残る。人間性の究極の本質は嫉妬である。人間はどうしても嫉妬から解脱(げだつ)できない。人の世を動かしている根本は嫉妬である。罪なき人を悲況(ひきょう)に追いこむ動因は世の嫉妬である。多少とも世に顕(あら)われるほどの者は、嫉妬の矢が全身に突き刺さると覚悟しなければならない。
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人間の思考も行動も実はすべて情念に発し情念に導かれる。誰にも共通した最も普遍的な情念は嫉妬である。人間性をとことん煮つめ煎(せん)じつめたら最後にどす黒い嫉妬の塊が残る。
◆嫉妬(しっと)
『人間通』
( 谷沢永一、新潮社 (2002/05)、p49 )
隣の貧乏、鴨(かも)の味、という。牛(ぎゅう)を遠ざけて鶏(とり)ばかり食っていた時代、鴨は特別の御馳走(ごちそう)であった。ことほど左様に隣人の不幸は喜ばしい。その逆となった場合を、隣に蔵立ちゃ儂(わし)ゃ腹が立つ、と表現する。自分に近しい者であればあるほど、その人間の栄達は居ても立ってもおられぬほど不愉快である。もともと同じ道をゆく競争相手の出世が面白くないのは当然であろう。その人は自分が手にすることができたかもしれない獲物(えもの)を奪ったと感じられるのだから、当方には悲しい被害者としての実感が湧(わ)きおこる。しかし当初は自分の周辺で幸福な状態にある者に向けられていた妬(ねた)みが、次第に膨張して洪水のようにますます広い範囲へと及んでゆく。自分とはなんの縁(えにし)もないけれど世に時めく人気者や高位にあって輝く者が燗(かん)に障(さわ)る。身分がとても獲得できないと頭から解(わか)っているような自分と懸け離れた地位に着いている者に対しても、この世にそんな奴(やつ)がいるというだけで無性に腹が立つ。消えてなくなれと烈(はげ)しく念じる。
人間の思考も行動も実はすべて情念に発し情念に導かれる。誰にも共通した最も普遍的な情念は嫉妬である。人間性をとことん煮つめ煎(せん)じつめたら最後にどす黒い嫉妬の塊が残る。人間性の究極の本質は嫉妬である。人間はどうしても嫉妬から解脱(げだつ)できない。人の世を動かしている根本は嫉妬である。罪なき人を悲況(ひきょう)に追いこむ動因は世の嫉妬である。多少とも世に顕(あら)われるほどの者は、嫉妬の矢が全身に突き刺さると覚悟しなければならない。