信頼する旧友で、九州大学で長く言語学を講じ日本言語学会長も勤めた早田輝洋氏から、過日幅広い情報と考え方の基本を案内してもらった。最新の学問状況からみて、印欧比較言語の研究に代表されるように、一つの「祖語」という共通の幹から枝分かれした系譜図をたどって、言語の歴史を遡及的(そきゅうてき)に探求するという従来の方法は行き詰まっている。それではせいぜい今から5、6千年前にさかのぼる程度にしか突き止められない。 . . . 本文を読む
私は『基礎教養 日本史の英雄』(おかべたかしとの共著、扶桑社、2016年)を書いたときに、織田信長を外して足利義教(よしのり)を入れました。義教は室町幕府第六代将軍で、青森県から沖縄県までを統一して、「リアル天下布武」を初めて成し遂げた人です。私が義教を信長以上に評価している理由は、琉球を日本にしたことです。義教が島津忠国に琉球を褒美に与えるという「嘉吉(かきつ)元年御教書(みぎょうしょ)」があり、後の江戸時代の島津の琉球侵攻も、明治の琉球侵攻のときも、琉球は日本のものだという根拠になります。それなのに、「琉球は別の国」というのを認めないと、学界では抹殺されます。 . . . 本文を読む
中矢選手の訪米目的にはワシントン近郊の米国海軍士官学校の柔道部での「トモダチ作戦への返礼」も含まれていた。2011年3月の東日本大震災での日本側の被災への大規模な救済活動に米軍の大部隊が投入されたが、その主体となった米海軍への感謝の意を込めて、将来の米海軍士官たちに柔道を指導するという意図なのだ。 . . . 本文を読む
1905年に日露戦争に勝った日本は、ポーツマス条約によって先に千島列島と交換した樺太の南半分を日本領として取り戻した。以後、敗戦まで樺太の南半分とカムチャッカ半島から北海道に至る一つながりの島々は、すべて日本領となっていたのである。この経緯で明らかな通り、くどいようだが北方四島が日本以外の領有だったことは歴史的にみて一度もない。 . . . 本文を読む
大江の講演でもうひとつ特徴的なことは、君主制あるいは国王というものに対しては、一切批判をしていないということである。現在でも、イギリスには王室があり、エリザベス女王が君臨している。オランダにも王室がある。世界中に国王や王室がある。
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そのころ私は、『スペクテイター』の合本の一部をたまたま見つけた。買ってきてくりかえし読んだが、なかなか楽しい。文章が秀逸で、できることならまねをしたいものだと思った。そんな思惑で私は、中の数紙を選んで、センテンスごとの要旨をメモし、2、3日放置、そのあと原本を見ずにメモだけで新聞を完成させるということをやってみた。 . . . 本文を読む
「国家」というと固く厳めしく聞こえるが、「社会」と言うと柔らかく優しく聞こえるから奇妙だ。しかし実質は同じことである。ファシズムといい、ソーシャリズムといい、コミュニズムといっても、それらはいずれも同類なのである。それはちょうどカニ、エビ、ザリガニといったさまざまの種の差こそあれ、いずれも甲殻類と呼ばれるのと同じである。 . . . 本文を読む
ブッシュ父大統領は、最大の痛恨事は、ジョン・スヌヌ首席補佐官(元ニューハンプシャー州知事)の誤った進言に引きずられ、同州判事だったデヴィド・スーターを連邦最高裁判事に指名したことだったと常々述懐していた。目立った論文がなく正体不明のスーターを、スヌヌは信頼できる保守派だと請け合ったが、実際にはスーターは最高裁判事就任後、加速度的に進歩派的立場を明らかにしていった。しかも2009年、70歳を前に突如引退を表明し、当時のオバマ大統領が若い進歩派を後任に据えられるようお膳立てした。 . . . 本文を読む
国内決済の99.9%がキャッシュレス、2015年時点でGDPに占める現金の割合が2%を割り込んでいるスウェーデンでは、人口約1000万のうち、約4000人(2018年末時点)が手の甲に埋め込んだマイクロチップで決済しているのだ。日本でも2022年6月から、ペットに飼い主情報の入ったマイクロチップの埋め込みが義務化されるが、スウェーデンでマイクロチップが埋め込まれるのは、犬や猫でなく人間の体内だ。
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農薬は巨額の利益が動く業界だ。多くの国で農業メーカーは、その巨大な資金力から政治に大きな影響力を持っている。アメリカでは農薬業界が政治家や官僚、科学者や大学、マスコミなどを押さえるために、毎年何千万ドルもの札束が舞う。 . . . 本文を読む
あまり知られていないが、日本は世界第3位の農薬使用大国なのだ。ちなみに日本は畑にまく農薬だけでなく、国民が口にする食べ物の残留農薬基準もかなり緩い。この問題について長期にわたる実験・研究を続ける金沢大学の山田敏郎名誉教授によると現在カメムシ駆除のために水田にまくネオニコチノイド系農薬の濃度(40ppm)と、私たち日本人が食べるほうれん草の残留濃薬基準(40ppm)は同じだという。 . . . 本文を読む
中華人民共和国成立の立役者はアメリカのジョージ・マーシャル将軍です。マーシャルは陸軍参謀総長として、第二次大戦のアメリカ軍を指導した英雄ですが、なぜか大戦終了後国民政府軍と共産党軍の間で内戦が開始された中国にトルーマン大統領の特使として派遣されました(1945年12月から47年1月)。マーシャルは蒋介石に対して何と共産軍に対する戦闘の停止と共産党との連立政権を要求しました。 . . . 本文を読む
わが国は共産主義ソ連の従属国になるべきだ、という聞く耳を疑わざるをえないほどの破天荒な提唱を、真正面から堂々と新聞紙上に公表した人物がいます。私の知るかぎり日本史上にもひじょうに珍しい、極点に卑屈な、売国奴の根性を丸出しにした発言でした。ソ連従属論から14年経った時点で、すなわち、神聖な共産主義ソ連が崩壊するに及んでは、今度は従属の相手を別に求めなければなりません。従属どころか、いっそ併合してもらったらいいというのですから、話は究極まで突っ走ります。 . . . 本文を読む
執筆者は何時も何かに抵抗し、何かを敵視している。明治から平成まで、日本のどこかにいる何かに石を投げている。教科書には石を投げている姿勢だけが書かれている。そしてそれにつごうのよい題材だけが、歴史の中から拾い出され、強調されている。けれども不思議なことに、石を投げて相手が具体的に誰であるかははっきりとは書かれていない。 . . . 本文を読む
日本で南北朝が合一した1392年に、朝鮮では高麗が亡んで李氏の朝鮮が興った。この朝鮮の歴史的転換の大きな原因となったのは、日本の海賊、つまり倭寇である。日本国内では鎌倉末期から南北朝にかけての政変があったころ、それとはおかまいなしに、西日本の沿岸地帯の豪族は、私貿易と掠奪を兼ね合わせたような活躍をやっていた。しかも、それは隣国の王朝を引っくり返すほどの力になっていたのである。 . . . 本文を読む








