カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

何度でも。

2021-03-26 05:39:46 | Weblog
何度でも表現してみたくなるモチーフがある。


『たいへんな災厄のなか』


国境警備隊から〈国籍不明の武装ブルドーザーが何台も国境線を突破してブルネグロの町へ向かつてゐる〉と報告を受けたブルネグロ飛行男爵は、〈想像力は死んだ。想像せよ。〉と呟いて、白鳥のやうに両手を広げて寝床に仰向けに寝転がつた。そして、その年、大変な災厄が起こつた。生き残つたひとびとは暫くの間、地下での生活を余儀なくされた。


ブルネグロの城地下深き湖にあり打ち捨てられたる貸しボート乗り場

そのひとをかあさんと呼ぶ不思議。湖の駅に汽車は来てゐて

お別れのときが来てゐますと後ろから声せり知つてゐましたよ慥(たし)かに

赤き布に包(くる)まれて弁当箱は僕の手のなか揺すれば焼売(シューマイ)と焼き銀杏鳴りぬ

ぶつぶつと声だし本を読む人なり隣席(となり)の青き鞄の主は

「時刻表通りじや」とぽつつり独りごつ水売り老婆の虹色グラス

湖の駅のホームの突端に立ち尽くしかあさんは手を振り続けたり

地下照らす灯りは青くあをく光る虫たちの羽でできてゐました

湖の駅のホームを吹いてゆく優しき風よ忍ばせ歩(あり)く軽き足音

ランタンを持ちてゆつくり歩み来る王女の胸元(むね)の青きペンダント

ホーム椅子に腰を下ろして王女ひとり手組みて一心に祈りはじめぬ

ひとしきり祈りて王女は顔上げてランタンの灯をしづかに見てゐた

水仙の香と夕べの鐘音かそかに立ちぬランタン持ちて帰つてゆく王女

階段口の扉(と)辺りの空気ふはり揺れて閉められたあとのしづもり

はつかばかりのあをき光に照らされてお城の地下に深まるしづもり
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今宵の神奈川フィルの協奏曲三題。

2021-03-26 05:04:30 | Weblog

記事メモ。。今宵のラジオ:ベストオブクラシック ▽シリーズ・オーケストラ・ジャパン(神奈川フィル)
[NHKFM] 2021年03月26日 午後7:30 ~ 午後9:10 (100分)

▽シリーズ・オーケストラ・ジャパン 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

出演者
田中奈緒子,管弦楽団…神奈川フィルハーモニー管弦楽団,フルート奏者…上野星矢,バイオリン奏者…石田泰尚,バイオリン奏者…ドゥビー・エルリー,指揮者…川瀬賢太郎,外山雄三

楽曲
「フルート協奏曲 作品30b」
尾高尚忠:作曲
(フルート)上野星矢、(管弦楽)神奈川フィルハーモニー管弦楽団、(指揮)川瀬賢太郎
(16分31秒)
~2021年2月6日 相模女子大学グリーンホール~

「バイオリン協奏曲 ニ長調」
ウィントン・マルサリス:作曲
(バイオリン)石田泰尚、(管弦楽)神奈川フィルハーモニー管弦楽団、(指揮)川瀬賢太郎
(43分13秒)
~2021年2月6日 相模女子大学グリーンホール~

「バイオリン協奏曲」
三善晃:作曲
(バイオリン)ドゥビー・エルリー、(管弦楽)神奈川フィルハーモニー管弦楽団、(指揮)外山雄三
(27分08秒)
<ナミ・レコード WWCC-7274>


ジャズ・トランペットの巨匠、ウィントン・マルサリス初のクラシック作品『バイオリン協奏曲ニ長調』とは。。。

第62回グラミー賞 受賞!
「Best Classical Instrumental Solo」

この協奏曲は、スコットランド出身のヴァイオリニスト、二コラ・ベネデッティのために書かれ、2015年11月にロンドン交響楽団の演奏で初演。ラプソディ、ロンド・ブルレスケ、ブルース、フーテナニーの4つの楽章から成り、演奏に40分以上を要する大作。ジャズやケルトの要素がふんだんに盛り込まれており、観客参加型のコンサートを意味する最後の楽章「フーテナニー」では、ソロとオーケストラがにぎやかな音楽を奏でる。

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