半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

素敵なおかげさま農場研修②

2011年02月09日 | 農的体験・生活
 さて、昨日の続きです。

 大根の収穫を終えた後、お手伝いをさせて頂いた若手農家さんのハウスで春にんじんのハウス栽培を見学させて頂きました。

 実は、ハウスでにんじんを栽培するのは初めてみました。

 「ハウスで育てる」ということは露地より暖かいわけですから「収穫の時期が早い」ということです。
 一般的に、どんな野菜も市場より早めに出すと価格がつきます。
 例えば私の住んでいる成田のお隣の富里では、お米の不耕起栽培の岩澤先生が昔しかけた「促成栽培」で本来千葉で収穫できる時期より早く出荷できるようになったため、九州ものに負けない「スイカ」の名産地になったといいます。

 でも、おかげさま農場の価格は相場制じゃありません。だから、頑張ってハウスで作っても単に「注文がたくさん入る」だけなんですよね。。。それでもハウスで作る農家さん、、、需要のバランスなのですが、、、う~ん。。。

 その他、ホームセンター卸用のネギの苗も作っていました。おかげさま農場の農家さんも卸用の苗を作る人がいるんですね。
 そういえばワタミファームのひとが苗事業は採算が悪くないと言っていたな~。


 さて、ハウスを見せてもらった後は、若手農家さんに無理行って私の相棒が助手席に、私は久しぶりにトラックの荷台に大根と一緒に乗っかりおかげさま農場へ戻ることにしました。

 当然、口ずさんだ歌は「ドナドナ~

 最初は久しぶりなんで楽しかったですが、そのうち風が寒くて売られていく大根の気持ちにシンクロしてしまいました

 
 さてほとんどお役に立たなかったとは思いますが1日の仕事を終えました。

 でも、、、ここからが本番
 高柳さんの家の前の小屋でwwoofer(ウーファー・・・ファームステイなようなシステムで泊まりにきている人)として泊まっている香港の女の子2人と台湾の男の子1人と合流し、国際交流のスタートです
 
 まずは夕食です
 頂いた大根とブロッコリーベースに、私と一緒に研修に来ている同僚が腕を振るって大根ステーキとシチューを作ってくれました美味しかった
 

 美味しくご飯を食べたあとは、おしゃべりタイム
 彼女達は同じアジアンなので箸も普通に使っているし顔立ちも同じ。すごく親近感が沸きます
 ただ違うのが言語です。

 で、例えば台湾からきたセイ君は北京語で、香港からきたツバメちゃんとミィーちゃんは広東語をしゃべります。香港の二人は北京語もわかるのですが、セイ君は広東語がわからないのです。
 なので、ツバメちゃんとミィーちゃんは、二人で話すときは広東語、セイ君に話すときは器用に北京語をと使い分けて話していました。
 そして私達とのコミュニケーションはやっぱり英語。
 みんな、英語はしゃべれるんですね~
 そして日本語も勉強中。
 となると、香港の二人は広東語、北京語、英語、日本語と4ヶ国語しゃべれることになるわけです。凄い

 また色々話を聞くと香港は凄いことになっているようです。
 例えば、香港では朝・昼・晩のほんとんどを「外食」する家庭が多いんだってつまり、いわゆる「おふくろの味」が無いんですよね。。。
 みんな勉強して仕事して働いて、、、と一昔の日本みたいな感じだそうです。
 また香港には畑とかは無いので、全部中国からの輸入のようです。(まあ、今も香港も中国ですが)
 ミィーちゃん一家はマンションの22階に住んでいるんだって。

 そんな話をしていると高柳さんが登場~
 手には高柳さんが合鴨農法でお米を育てた後、絞めた鴨の肝の煮付け、三浦大根の煮付けなどが


 超美味かった

 これらを肴にし、お酒はこれまた高柳さんの無農薬・無化学肥料栽培のお米を使った寺田本家さんの「五人娘 しぼったまんま」
 このお酒にもストーリーがありました。
 以前、寺田本家の寺田社長とお酒の話をしている時に「本当のお酒は悪酔いしない」という話を聞き「よしわかった!じゃあ寺田さん、私が米を作るから寺田さんはそれでお酒を作ってもらえるかい?」と頼んだそうです。
 しかもそこには「お金」は一切介していないのです。高柳さんは無農薬無化学肥料で育てたお米をお金を一切とらずに無料で寺田さんに納めるそうです。その代わり、お酒が無くなったらいつでも高柳さんは寺田さんに言えばお酒を無料で持ってきてもらえるそうなんです。
 素晴らしい関係ですよね~

 そんな感じで食べるものも飲むものも、全てが高柳さんのものから作られた手作りの逸品で、本当に美味しかったです

 それから深夜まで歌とギター、ピアノ、ジャンベの饗宴となり、なんだか海外でステイしているような気分になれて本当に楽しい時間を過ごさせていただきました。

 またいろいろな話をお聞きしたのですが、大変印象に残ったのは「何故有機農業を始めたのか?」

 簡潔に言うと「自分達の時代に土や農業を滅茶苦茶にしてしまったのだから、これからの世代に向けて何とか以前の状態を取り戻したい」という使命感から、のようです。
 農薬を使い収量をあげることを優先した農業、そしてお金最優先で動いていた戦後の日本。そういう時代を作ったのは自分達の世代も関わった、ということから来る感情があるようです。
 だから「命の源である食」を生み出す方法として有機をやろう、という決断をしたそうです。
 「経済優先だった『時代』の問題の責任を感じている」と言った大人に私は始めて会いました。凄いな~。
 
 その他、例えば昔の話で面白かったのは七五三の話。高柳さんが子供の頃は、七五三は集落のみんなで祝ったそうです。それは単にその家の子供が大きく育ったという意味だけでなく、その村の後継者が育ったという村全体の行事でもあったそうです。
 昔は色々しがらみはありますがそういった「共同体」で子供が育っていましたし、子供はそういった「共同体」にいる大人の振りを見て、生き方を学んだのでしょうね。
 
 そして、生き方の示唆をする話として印象的だったのが「キジやたんぽぽに負けるな」というお話です。

 鳥のキジはほとんど飛びません。ニュージーランドのキゥイバードみたいなもんです。
 そんな彼らが草むらで雛を育てているそうで、農家さんは刈払い機で草刈りをしているときに、そのままキジをジャキーんと切ってしまうことがよくあるそうです。
 なぜ「ウィーン」という草が刈られている音が近づいてきても逃げないのかとういと、子供達を守るためだそうです。絶対そこを動かないそうなんです。
 また、狩りなどで子供がいる方に人間が近づくと、親鳥は時にはあえて自分が飛び出して自分の方に意識を向けようともするそうです。
 高柳さんは「子供を捨てる親もいる時代だけど、もっと自然に学ばなければいけない。キジの方が人間よりよっぽど命の大切さをわかっている。命をかけて守るキジの親鳥に人間も負けてはいけないよ」と語ってくれました。

 さらに「人生は、①どんな人と(伴侶)②どんな人生を ③どこで生きるかの3つが重要。例えば、たんぽぽは種を飛ばして地面に落ちたら、もうそこからは文句を言わずそこに根を生やし一生を過ごす。人間も同じでここという場所が決まったら覚悟を決めて、仕事、つまり「事」に「仕える」んだ。キジやたんぽぽに勝たなくてもいい、でも負けちゃいけないよね」
 
 そんな熱い語りを聞かせてくれました。

 こういった先輩と熱い語りを酒を飲み交わしながらするのは、本当に久しぶりでした。

 本当に楽しく、嬉しい時間を過ごさせてもらいました。

 高柳さん、本当に有難うございました
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