本日、「トランジション・ジャパン」の創設メンバーのお一人、ポールさんのお話を聞いてきました。
そこで、「トランジション・タウン」が確実に日本で根付きはじめているということを感じました。
う~ん、成田でもゆくゆくは立ち上げたい
その前に、「トランジション・タウン」といっても、なんのことやら?という人がほとんどでしょう。
「トランジション・ジャパン」のHPを見ても、ちょいと難しいと思うので、私なりに解説します。
ざっくりいうと
「石油をベースにした持続不可能な現代社会に依存する生活をやめて、市民1人1人が、どうしたら持続可能でワクワクする楽しい町を作れるか?を考えて、実際に作っていく活動」というものです。
もうちょっと補足説明しますね。
・昨年の原発事故で、多くの人々が太陽光などによる「再生可能エネルギー(自然エネルギー)」に関心を持つようになりました。
・しかし、世界的にはもっと深刻に「地球温暖化」や「石油の枯渇」が問題視されています
・特に「ピークオイル」という概念を考える必要があります。ピークオイルとは、石油の産油量(供給量)が今現在はピークであるといわれており、既に国によっては産油量が減り始めています。油田があっても、例えばアメリカでは1930年頃(?)と2000年頃で掘り出した石油の質は50倍ぐらい悪くなっている、というデータもありました。
一方で、世界でみれば石油の消費量は日に日に増えています。石油がある日から突然無くなるということではなく、世界的な需要は増え続ける一方で生産が減少していく段階に入っており、需要と供給のバランスが大きく崩れ始めています。つまり、これから「今までと同じような価格では手に入れられない=これまでのように石油に依存した社会は持続不可能」ということを前提において、これからの社会を考えようという発想です。
・具体的に言えば、小麦、大豆、とうもろこし、そしてそれを飼料としている畜産、牛乳、あるいは果物、あるいは肥料など、食糧を輸入に頼っている日本は、今の状態は続けられなくなります。生産、管理、加工、輸入、全てに石油が使われていますしね。
・100円ショップで売っているもの、衣類、住宅木材など、多くの工業製品も今の価格での輸入が難しくなります。
・車、船、飛行機などの移動に使う機械を動かすのも同様。
・電力などのエネルギーも、石油を使えなくなります(採算が合わなくなる)
・「石油は3世代まで」という言葉もあるようです。
●おじいちゃんの代は、移動手段はラクダだった
●お父さんの代は、移動手段は車が当たり前になった
●自分の代は、移動手段は飛行機が当たり前になった
●子供の代は、移動手段は車が普通になる
●孫の代は、移動手段はラクダに戻る
という笑い話のようで、本当にそうなるかもしれない、という話です。
日本では戦後間も無い1950年代は、単位はよくわかりませんが、5,000ぐらいのエネルギー消費量だったのが、現在は24000ぐらいになっています。人口の問題もありますが、5倍近くに膨れ上がっています。そして、このエネルギーの消費量のうち、石油を使ったエネルギーはオイルショックがあった1973年の75%と高依存だったのが、今では40%ちょっとに落ちていて、その代わりに原子力や天然ガスなどによるものが増えています。
でも、ウランや天然ガスだって、結局は「輸入」しているのです。
「自分たちの代ぐらいは今の生活はそうは変わらないだろう」、といって「思考停止」をするのではなくて、理性を働かして2030年~2040年ぐらいには、石油を極力使わない社会になっていることを認めようというのが第一段階。
その上で、自分たちの老後はもちろん、子供や孫達のあるべき社会はどういった社会がよいのか?それをどうやって作っていくのか?を市民1人1人が「創造力」という最大限の資源を使って考えて、実践していく活動のことを「トランジション・タウン」と言うわけです。
大上段に言えば、「石油に頼った持続不可能な社会」から「石油が無くても持続可能な社会」への
「移行(トランジション)」を目指す活動ともいえますね。、
具体的には、エネルギーの自給や、食べ物の自給など色々テーマがありますが、神奈川県藤野市の「トランジション藤野」でやっている活動を紹介すると、まるで地域で色々な部活動が盛んに行われている様相です。
・森部→荒れた里山の木を老若男女問わず参加できる「皮むき間伐」で行う活動をしています。
・地域通貨→「自分の出来ること」「他人にしてもらうこと」を円ではなく地域通貨を通じてやりとりする活動をしています。
・お百姓クラブ→地域の自立には食糧はとても大切で、みんなで開墾をし、共同で農場を作り、野菜を作る活動をしています。
・長屋→有志が集まり、長屋を作り、大型の冷蔵庫やキッチンは共同の大部屋でまかない、各自の家(部屋?)は最低限のものだけにして、木材も地元の木を使い、エコで協働的な生活を志向しています。
・藤野電力→今、一番有名だと思いますが、ソーラーパネル作りワークショップなどをしながら、地域での電力自給を目指しています。
ポイントは「楽しく繋がること」、「創造力を発揮して地域の底力をあげること」だそうです。
お聞きしていると、コーチングの「場の形成」に非常に似ています。指示せず、強制せず、義務感ではなく、自分の中から湧き出るやりたことをどんどんやっていこう、それを認め合い、承認し、つながっていこう、という感じです。
トランジション・タウンはイギリスで2005年に始まったばかりですが、世界には既に数千ものトランジション・タウンがあります。
そして、日本では2008年に始まったばかりですが、既に30もの地域で「トランジション・タウン」が作られています。驚くべき広がりようです
私が3年ほど前に、生きる原点、生活感を実感できる生き方が「農村にある」という確信を持ちました。
なので「村みたいな共同体を作りたいな~」というのが大きなビジョンでした。
そして、今年1月、私のコーチングの尊敬する師匠の榎本さんが、トランジションタウン藤野の事を海外のメディアに語っている映像をFBで見たとき、「あれ、これが私がやりたいことなのかな?このことのために、今までの流れがあるのかな?」と思いました。
ちなみに、榎本さんとは、コーチの養成期間の
CTIジャパンの創設者です。イギリスノフィンドホーンに渡り数年暮らしたり、アメリカなどから色々な概念、活動を貴日本に帰化させた人で、
セブンジェネレーションズや
トランジションタウン・ジャパンを立ち上げた人です。
話を戻すと、農村に出入りしながら色々模索をしていく中で、昨年の原発事故があり、そして今年、コーチング時代の仲間からのお誘いで、「
第四の革命」というドイツの反原発に多大な影響を与えると言われた映画を千葉に見に行きました。
そこで、「再生可能エネルギーによる電力供給が可能」という事実を知りました。さらに、その映画上映の主催者である「
千葉自然エネルギーの会」のみなさんとご縁がつながり、さらにそのメンバーの一人からのご紹介で、本日、トランジション・ジャパンを立ち上げたメンバーの一人のポールさんのお話を生で聴くことが出来たのです。
こういった「ご縁」が繋がる、というのは「流れ」ですね。
そして、ポールさんのお話を聞くために本日集った参加者の方々のお話を聞くと、この潮流はどこまでも加速していく、という確信をますます強くもてました。
経済社会が右肩が上がりにいくのは既に終わっているのが明らかです。特に日本国内では。
若者の就職率が低下し、今の20代の一部は、既に「会社に勤める」という人生観が無く、自分たちで道を創っていくという志向をもった人達が増えています。
そして、「お金」から離れて、農村に「ライフスタイル」の1つの具現化する場として、多くの人々が流入してきているのをこの3年間、目の当たりにしてきました。
それは、かつての「反対運動」や「社会へ順応できない逃げ場」といった感は全くなく、とても緩やかでワクワクした素敵な「生き方」の現われです。肩の力が入っていません。
何年も前に榎本さんが、イギリスのフィンドホーンから帰ってきてお話をしていた時には、トランジション運動という言葉さえ、日本のほとんどが知らなかったはず。私も全く関心が無かったです。
鴨川の林さんも、私がお会いした3年ちょっと前は、まだまだ公には登場していない状態で、鴨川自然王国の正式なメンバーではありませんでした。
しかし、今や、意識を早くから持ち、行動してきたそういった人が、どんどんつながり公に登場し、昨年の震災後、急速に私達一般市民もつながり始めていることを感じます。
実は、千葉自然エネルギーの会の方が、以前、藤野までいって榎本さんのお話を録画してきていました。そのDVDをポールさんに出会う前日、つまり、一昨日に私は見ていました。
その映像の中で、榎本さんは
「以前は、意識を持ってもらうことから始めなくてはいけなかったんです。でも、3.11以降は、説明が必要なくなったんです。みんなが考え方には賛同して『いいと思うけど、本当に出来るの?どうしたらいいの?』という質問に反応が変わったんです」
と語っていました。
なるほど。そうなんですね。
原発が無くなっても、今と同様の電力が再生可能エネルギーで供給できたらいいと思いませんか?と聞かれたら、3.11以前であれば、「再生可能エネルギー?まあ何でもいいんじゃないの」という状態だったと思いますが、今では「そりゃ、出来たらいいけど、できるの?」というのが大抵の反応ではないでしょうか?
私自身、そして私の周りの人からの言動からも実感できます。
エネルギー、食糧、教育(子供を育てること)、伝統文化を繋いでいくこと、などは昔は「村」単位のことでした。ローカル(地域)の力ですね。
そういった「村」というコミュニティーが作れたら、と思っていましたが、今の時代は、こういった全てが行政や他地域と複雑に絡みあっています。だからこそ、「村をつくる」という概念よりは「社会を作る」という概念の方があっていると思います。
旧態依然とした「村」ではなく、今の時代の「流れ」にあるように、ゆるやかに、楽しく繋がる、という思想で、「トランジション・タウン」を作っていくというのは、受け入れられやすい楽しいわかりやすい活動ですよね。
ポールさんが言っていました。
「トランジション・タウンの発祥地のトットネスという町は2.2万人ぐらいの町。小金井市や船橋市などは大きすぎる」
また、事例として「トランジション・ストリート」という概念もあることを紹介してくれました。
1つの並びにある住宅のみんなが集まって、テキストを読みながら10週間ぐらいかけて、食べ物、教育、エネルギー、などを学んでいき、トランジションしていく(新しい生活スタイルに移行していく)というやり方もある、ということです。
思想から言えば、「トランジション・ファミリー」でもいいわけです。
夫婦が同調すれば、2人の有志が集うわけだから。
「トランジション・フレンヅ」、「トランジション・ヴィレッジ」でも良いはずですよね
社会つくりは地域から。地域の底力をあげること。地域に愛をもつこと。
無いものねだりより、あるもの探し。
色々な言葉がありますが、それが新しい生き方、なんでしょうね。
この3年、自分という畑を耕してきました。
そして、時代の潮流を本当に感じるようになった今日この頃。
自分の中にも素敵な種がたくさん蒔かれています。
これからがとても楽しみです