モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

川崎総合科学高校デザイン科2020年 合格再現作品

2020-03-09 23:03:58 | 学生

オバラです。先週岩田先生が美術系高校受験の合格者をご紹介しましたが、続けて川総デザイン科を合格した3人の『合格再現作品』をお見せします。
今年の試験は90分の制作で、立方体の木材・20㎝程の白い紙テープ(切ったり折ったりの加工をして構わない)、オレンジのピンポンボールがモチーフとして与えられました。3人の中での最高得点は86点でしたが「合格すればいいってもんじゃないよね?なんで86点しか取れなかったと思う?」と問うと返ってきた答えが「モチーフを渡された時『え?こんな初歩的な物だけ?ヤッタ!勝った!』と安心してしまったのが敗因です。」とのこと。「それ私に対して『ずっと難しいモチーフばかり出題して脅してくるから』っていうクレーム?」と聞くと、慌てて否定していましたが、そこまで受験を侮れるとは、偉くなったもんだな、オイ!(笑)

まだまだ形の甘さや描き込み不足は気になりますが、デッサンをする上で口酸っぱく言って来たことが、3人共しっかり反映できていたのは、本当に素晴らしいことです。
・構図は画面の上方へ配置し、物が実物より小さくならないように
・自分との距離感を3つ全て変える(手前・中間・奥)
・素材の特徴を活かすセットをする(透明の物は重ねる、小さい物は手前に置く、軽いものはふわっとetc)
・同系色が多い場合、中でも一番暗いものは少し大げさに黒くし、メリハリを利かせる
・光と影が分かりにくくても、しっかり色幅を付ける
以上の事を十分理解し、身に付いていると感じました。途中、私や岩田先生に頭ごなしに「やる気が見えん!ヘタクソ!一度言われた事は必ず覚えろ!メモしろ!復習しろ!上手く描けない原因を考えろ!」と言われ、凹んだ時もあるでしょう。自分の限界と戦いながら逃げずに挑戦し続け、よくここまで描けるようになったと思います。

受験で失敗するリスクを恐れて、推薦やAO受験という安パイを選択する学生が増えています。恐怖からの回避です。失敗することで自分の価値が現状よりも下がると考えてしまうのでしょう。
受験における優柔不断は、これまでの人生で必死になる経験を避けてきたことと、欲のなさが大きく影響していると思います。15年間自分の限界を知るまでのチャレンジをした経験がない人が多いのかもしれません。穏便に平和にと願い他人との勝負を避けるあまり、自分との戦いも拒絶して成長を妨げているのに気付いていないのです。

枚数を重ねるほど興味が沸き、もっと描きたくなるはずです。学ぶにつれ「自分の手で上達を実感できる」と自信も持つようになります。このチャレンジは、他人の目を気にしてよい点数を取るためのものではなく、自分の好きなものを極める為の手段であり、本当に楽しいものです。
自分の一歩を踏み続けていたら、知らないうちに絵が上手くなっていた。でもやっぱり合格できるか不安、自信消失。試されるのが怖い。才能の無い自分を知るのがイヤ。なにくそ描くしかない、限界までチャレンジだ!自分の力で合格を掴み取った…そんな経験をしてくれた3人に拍手!

コメント
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