モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

宗教画と地獄絵

2016-05-17 22:19:47 | 大人 水彩

箕輪 透明水彩


皆様お察しの通り、作者は若い女性です。絵から瑞々しい感性が溢れていますね。
左の作品は最新作。木漏れ日が優しく鹿達を照らし、まるで体が輝いているかのよう。深い森ではなく少し開けた空間が広がり、奥にまた木々が続いています。そよ風が木の葉を揺らす穏やかな時間、気持ちのいい季節。
このような何気ないワンシーンを選びながら、箕輪さんはそこに神聖な空気を丁寧に一筆一筆封じ込め、宗教画にまで昇華させたように思います。
宗教画は、神の事を知ろう・信じようと構えて見る必要はなく、絵から『母が子どもを愛する気持ち』『宇宙が一人一人を包んでいる感じ』を見て深い愛情にほんわかできればそれでいいと私は思っていますが、この作品はまさにそんな気持ちにさせてくれます。

打って変わって右の作品、約半年前に描かれた絵です。若い女の子の揺れ動く心情が見事に描き出されています。ゴージャスな大輪の薔薇をもらっていながら、全く嬉しくなさそう。それどころかつまらなそうな顔。ベットにもらったままの状態で投げ置き、ちょっといじって花びらをちぎってしまっています。花占いではないでしょう。薔薇をもてあそんで捨てたのでしょうね。
私なりに深読みさせて頂くと、つまり男性をもてあそんで飽きてしまった状態(心情)だと思います。え?男が可哀想?いえいえ、反省などしませんよ。女子は残酷ですから。「だって、彼つまんないんだもん。あたしを満足させられない彼が悪いんじゃないかなぁ?」といった感じではないでしょうか。暗いベットサイドに薔薇を置き捨て、自分は明るい窓際の方を向いているのは「さ、次つぎ!」と新しい恋の始まりを暗示しているのでしょう。

しかし、半年でここまで対照的な絵『宗教画と地獄絵(?)』を描くとは面白い限りです!移り気な女の子は天使にも悪魔にもなれるんですよね!ご本人に全くその気はなかったでしょうが、結果として女子の女子たる所以が作品に現れてしまったところが見ていて本当に楽しかったです☆
しかしこの2枚の間に石膏デッサンや鹿の骨のデッサン、人物クロッキー、透明水彩の使い方や構図の勉強をされて、家でも時間を作って制作しては持って来て下さる勉強熱心な箕輪さんだからこそ、こういった遊び心が活かされたのだと思います。技術を上げても、このフレッシュなセンスはなくさないで下さいね!   オバラ
コメント
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