駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

眠れぬ夜

2021年01月26日 | 診療
                            

   カールヒルティに「眠れぬ夜のために」という著書がある。読んだことはないが眺めたことはある。
 眠れぬ夜が何時からあったか、果たして人類が誕生した頃にも眠れぬ夜はあったのだろうか。
 高齢者の不眠症には悩まされる。いろいろ新しい睡眠薬も登場し睡眠薬の使い方も系統的で定式化されてきたが、生身の人間が相手だと中々難しい。癖になりにくいという新しい睡眠薬は、ちっとも効かないと拒否されることも多い。若い人や新しい患者さんの場合は、難しそうだとわかると精神科を紹介するようにしている。
 しかし、高血圧などでかかりつけの高齢の患者さんだと、眠れないくらいでは簡単に専門医を受診してくれず、睡眠薬を減らすのに手こずることもある。呉れるまで帰らないなどと駄々をこねる爺さん婆さんが時々居る。就寝時間を遅めにして昼寝やうたた寝をしないようにといくつか注意をしても、誰もがわかってくれるわけではなく、忙しい外来だと根負けすることもある。
 冷たく駄目ですで済ませられたらと思うこともある。それでもこの十五年で睡眠薬の処方量は半減できたと思う。高齢者には眠れないと訴えても実は眠れている人も多いので、外堀から徐々に埋めて睡眠薬を少しずつ減らしてきた。デパスを飲んでいる人は殆ど居なくなった。それでも、睡眠薬を所望する患者さんは後を絶たず、対応に苦労することがある。
 それにしてもなぜ人は眠れなくなるのか。
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寒さが教えてくれるもの

2021年01月25日 | 人物、男
           

 昨日は冷え込むと言われたがさほどではなかった。一月も終盤、冬が峠を越しつつある。まだ大雪や寒波はあるだろうが、真底の寒さはもうないような気がする。
 寒いのは好きではないが、寒いと身体だけでなく心も引き締まる気がする。温暖の地に暮らして四十年、何か微かに失ったものがあるかもしれない。
 机の片隅に患者さんにいただいた小さな象牙の彫り物がおいて置いてある。肝の据わった方で、質の悪い病に動ずることもなく病室に伺った時いくつか昔話を聞かせていただいた。昔のビルマで従軍され、ビルマがなんとものどかで平和なところだったと述懐されていた。
 奇跡的に回復され、ビルマを再訪された。半世紀後も変わらぬ世界があったと話され記念にと小さな象牙の置物をいただいた。私が病院を辞してから再発で入院されお見舞いに伺った時、もう一度などと口走ると諭すように僅かに微笑まれた。
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罰則は内閣にも

2021年01月24日 | 政治経済
         

 コロナ対策で罰則によって実効を挙げようとする菅内閣にも罰則が必要。罰則で脅すことで人を動かそうとする菅首相を内閣支持率で脅す必要がある。人事で脅して物事を動かし、批判が当たっているのに批判は当たらないと問答を拒否、国会を軽視忌避する姿勢は民主主義を踏みにじる姿勢と申し上げたい。人を脅すやり方は本意ではないが、それでしか民意を感じない首相にはやむを得ない手段かもしれない。
 一体今まで毎日の会食で何を話して来られたか。あいつはけしからんこいつは気に食わない、こいつは可愛いあいつは人気がある、それに加えて、どの政策が好感度に繋がるかどの政策か岩盤支持層に受けるかといった、策略主体のものだったのではないかと危惧する。
 コロナ対策が一番と言われるが、やってきたことやろうとしていることを見れば、言葉だけなのがわかる。槍が降ってもオリンピック、火に油を注ぐゴーツー政策優遇はコロナ対策第一と矛盾している。そして得意の人を脅す罰則コロナ対策、批判と受け取られるようだが、実は批評しているだけで、批評なくしてよりよい方策を見出すことは出来ないと申し上げたい。
 国会の正面を向いた論戦で野党を論破して優れたコロナ対策を遅滞なく行っていただきたい。そうすれば支持率も持ち直すでしょう。
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バスストップ

2021年01月23日 | 世の中
            

 高木東六ほどではないが歌謡曲は趣味ではなく殆ど聞いてこなかった。このところどういう風の吹き回しか冬の夜半、ユーチューブで歌謡曲を聴くことがある。歌謡曲が好きな人には歌謡曲らしい歌謡曲でないと言われそうだが、バスストップ、宗右衛門町ブルース、港町ブルースなど名曲で聞き惚れてしまう。
 歌い方がどう違うか専門的なことはわからないが、歌謡曲の歌手は歌が上手い、聞かせる。私が日本人だからそう感じるのかもしれない。
 中でバスストップ。年を重ねた平浩二の歌唱力は素晴らしく他の歌手のカバーでの追随を許さない。唯、歌唱に聞き惚れながら、歌詞にはさほどの感動はない。私にはよくわからない。私が男だからと言うわけでもないと思う。何故別れるのか分からないが、そんな風に思うことはないと言ってやりたい。
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評価は他人が下すもの

2021年01月22日 | 政治経済
         

 中々自画自賛はしにくいものだ。特に日本人は謙遜するのが美徳という文化があって普通の人は私は優秀で素晴らしい仕事をしているなどとは言わない。例外はあり、同業者にも若干そうした傾向のある人は居ないでもないが、周囲の評価は必ずしも高くなく支持されないことが多い。勿論、謙遜も度が過ぎれば嫌みになってしまうのでほどほどがよい。正直に心から評価は他者が下すものと思っている人が本物なのだ。
 しかし政治家というのは面の皮が厚いというか、よくまあ、新型コロナ対策に後れはないなどと言えるなあと思う。まあ野党の攻撃に対抗する手前そう言わざるをえない面もあるだろうが、自分で自分を高く評価するのは筋違いと申し上げたい。
 現金を渡したり受け取ったりして、それを応援金と言い逃れるのは白々しい嘘に聞こえる。
 評価は他人が下すもの、政治家の場合は有権者が下すものだ。
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