駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

鬩ぎ合い妥協で複雑化

2022年12月08日 | 医療

              

 

 診療代金はレセプトという請求書を国民保険社会保険の支払機関に提出して窓口負担以外の料金の支払いを受けるシステムになっている。これが中々複雑怪奇な仕組みになっており、整合性が不十分な請求(多くは見落としや見解の違い)は支払いを拒否される。その多寡は医療機関によって異なるが、概ね0.5-1.5%くらいが支払いを拒否される。再請求で復活されることもあるが、再度拒否されることも多い。支払いを拒否された分は医療機関負担となり損失となる。

 ラーメンと餃子を食べたお客さんの請求書に餃子が抜けていた場合、目の前で食べたわけだから申し訳ありません餃子代400円を打ち忘れましたので400円お支払いをお願いしますと言われれば、支払ってくれるお客さんが多いと思うのだが、医療保険の支払基金は病名打ち忘れは認めませんと支払ってくれない。

 医療費は検査、薬品代金、診察料の他に様々な判断料指導料往診料など一定の条件が揃っている場合に支払われる料金がある。それが数年ごとの改定で変わるために事務の頭がこんぐらかって請求し忘れることがある。支払い側は請求できる料金の請求し忘れを教えてくれない。そのために院長が後から気が付いて、何だこれはと事務に怒り出すことがある。

 日本の医療保険制度は上手くできているのだが、請求側と支払い側が鬩ぎ合い妥協して仕組みが複雑化している。手続きのための費用は甚大となり、ここにも日本気質の特徴が出ていると診断している。

コメント
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