駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

内科系開業医の仕事

2022年11月26日 | 世の中

            

 

 内科医には外科医のような表に分かりやすい専門的な技術はない。消化器内科の医師の中には観血的な内視鏡手術のできる医師も居るが、大半の内科医にはメスを使う技術はない。問診して診察して鑑別疾患を思い浮かべて検査を選び診断を付けて生活指導薬物治療するのが仕事で技術があるにしても目立たず分かりにくい。

 世間の人は名医という言葉が好きで、週刊誌には名医がよく登場する。唯、医師が名医という言葉を使うことは殆んどない。勿論、きちんと評価はしていて褒める時は**先生はよくできるあるいは信頼できる、後輩などはあいつはよくできるあるいは大丈夫と表現する。そうして難しい疾患や重症の患者さんは頼りになる信頼できる医師に紹介する。頭の中にはこの病気はA先生こうした患者さんはB先生と地図が出来ているが、総合病院の部長クラスの医師はみな優秀で大きな差はないことが多く、紹介先は患者さんの希望に沿うことも多い。

 そうして比較的地味な内科系開業医の仕事なのだが、意外なこと?に患者さんは診断を高く評価してくださる。病気を見付けていただいてと感謝されることが結構あり恐縮している。いつでもうまくゆくとは限らず、あなたは運が良かったというのが本当のところだ。

 内科系開業医の一番の特徴は長い付き合いというか長期診療にあるように思う、三十年通っておられる患者さんも居られるし親子三代通って来られる患者さんも居られる。亡くなった父母や夫や妻を記憶している人間として私に親しみを感じている患者さんも居られるように感じる。

コメント (2)
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