駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

かかりつけ医を虚仮にすな

2021年06月15日 | 医療
         

 一ヶ月ほど前から政府は突然新型コロナワクチン接種に異常な力こぶの入れ始め、自衛隊員まで動員して押し進めている。接種が進むのは良いことだが動機がオリンピックに間に合わせるのためのようでどうも釈然としない。
 菅首相はG7でオリンピック開催支持を要請されたようだが、やめなさいと言う首脳はいないだろう。やめることにしましたと言えばやむを得ませんねと言うだろう。なぜ主催者でない首相がG7でオリンピックオリンピックと口にするのかといえば、政治課題にしているからに他ならない。やると言ったからには槍が降ってもやるぶれない私をアッピールされたいように見える。
 三月からインフルエンザワクチン接種と同じように始めていれば、大規模会場設置や自衛隊援助要請などしなくても七月末には余裕で高齢者ワクチン接種は完了していた。菅総理もインフルエンザワクチンは一日七十万接種できていると認識している。それなら、同じシステムで新型コロナワクチンも一日七十万接種は可能な理屈なので、医師会と協力して三月から始めれば良かった。
 確かに医師会長は問題のある人物のようだが、新型コロナ対策が圧力団体の医師会のせいでスム-スにゆかないなどと言い掛かりをつける政府要人竹中平蔵は自分たちの失敗を人に押しつけようとしている。  
 医師会と行政が協力してコロナワクチン接種が上手くいっている自治体もある。当地の医師会員には日曜日を返上して百人接種している医師も居るし、当院でも頑張って週に二百人接種(インフルエンザワクチン以上)している。今や絶滅危惧種の金儲け開業医という旧いイメージで難癖を付けないで欲しい。
 最大の問題は医師を含めた国民から信頼を得られない、科学的に物事を考えることのできない首相を筆頭とする現政権にあると申し上げたい。信頼があれば圧力をかけなくても利益誘導しなくても自衛隊を動員しなくても、医師会も国民も動く。もっときちんと説明して科学的に物事を進めて欲しい。
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