駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

老兵は消え去るのみ

2021年05月08日 | 診療
          

 老眼になって久しい。四十半ばの頃、ある日新聞が読みにくいのに気付いた。まさかと眼鏡を外すと活字がくっきり見えた。老眼かとぎょっとした。以来、中近や遠近の眼鏡を使用している。残念ながら老眼は進行し、七、八年ごとに度数を変えてきたのだが、この二年ほど又カルテの表書きが読みにくくなった。
 画数の少ない字は読めるので小*、*田、など読める字から形の印象で小柳佳子さんを小澤佳子さん、豊田明子さんを富田明子さんと呼んでしまったりすることが週に一回くらい回ある。付いている看護師が気立ては良くても覚えがもう一つの人物の場合、一緒になって間違えてしまいむっとされてしまう。
 「いや、老眼で申し訳ないと」取り繕っているが、患者さんが減り始めるきっかけになるような気がする。八十過ぎても診療している先生が居られるが、よくしたもので大体七十四、五歳から徐々に患者が減り始めるもので、八十過ぎればなじみの患者さんばかりになるらしい。もうそろそろと肩を叩く人事係が居なくても、患者さんがもうそろそろと教えてくれる訳だ。それでも気付かないと、稀なことではあるが医師会から、先生そろそろと、密使が赴くことになる。
コメント (2)
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