駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

似ている?二人

2021年05月02日 | 人物、男
        

 四十年の空白を経て時々小説を読むようになった。書評に惹かれてのことが多く、買っても面白く感じられず読了できないこともある。その点、作家の旅行記やエッセイは途中で投げ出すことは少なく、楽しく読める。
 黒木亮という作家は何かで長距離ランナーの資質と思わぬ出自を読み、そんなことがあるのかとその存在を知っていたが著書「世界をこの目で」を手に取ったのは初めてだ。作品を殆ど読んでおらずお会いしたこともないのに似ているは無茶かもしれないが吉村昭と同質なものを感じ取った。黒木亮は小説家としては遅咲きで二十年程の銀行証券会社商社といった経済的な社会体験の後に書き始めている。しかも海外在住(ロンドン)で走力に優れ商才もある?ところなどは吉村昭とは随分違っている。
 しかし綿密な取材を基に事実を小説化してゆく手法と外連味の少ない硬質な書き方は通底している。書き方というより生き方かもしれないと僭越なことまで想像を膨らませる。一世代違うがどこかで出会いがあっても良いように思う。お二人ともいける口なので話が弾んだのではないか。吉村さんのご子息に検証して貰いたい気がする。
コメント
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