マスコミの名作、名所そして名医にはさほどの信を置いていない。万人に有効とは思えないからだが、日本文学100年の名作(新潮文庫)は選者と自分の年齢を考えれば参考になるかなと思う。池内紀、川本三郎、松田哲夫。松田哲夫さんはよく存じ上げないが、池内、川本のお二人は敬愛する文人で、楽しくお話を聞き著作を読んで来た。
この年になって少し小説に回帰しているのは、小説でしか味わえない表現できない世界があると気が付いたからだ。ミシュランの三つ星も一つ二つはと思うがそれ以上に出会いたい世界を展開する小説があると思う。もう若い時のように我慢して読むことは出来ないから、三ページで投げ出す小説も多いが、短編であれば最後まで読める作品も多いだろう。それに名前は知っていても作品を読んだことのない小説家も多いので新発見がある気がする。
これからはAIの時代と騒がれているが、秘かに信を置く新井紀子さんは2045年にシンギュラリティは来ないのではと言われる。今のAIには小説を書くのは難しい。小説は囲碁将棋よりも人間総合の営為のようで、人間の端くれの私には見逃せない世界があると思われる。