防衛庁の特別監察には身内調査の限界があり、踏み込まない内容で、国会答弁を拒否する盾にはなったが、謎と責任を明らかにするものではなかったようだ(私は全文は読んでいない)。稲田防衛大臣が日報隠蔽を容認していたか否かは不明のままだし、なぜ黒江事務次官が隠蔽を選択したか、その理由も不明だ。事務と制服のトップが辞任を表明し、次いで防衛大臣まで辞任したのだが、こんな揃い踏みは、空白を生んではならない防衛庁としては極めて無責任だ。辞任したからと言ってこの不祥事の責任をきちんと取ったことにはならない。なぜ隠蔽を選択したか、なぜ記録に残る形で防衛大臣の許可を取らなかったかを明らかにする責任がある。
唯二、明らかになったのは、稲田防衛大臣が防衛庁の幹部に信用されていなかったことと、首相に異常に信頼されていたという二つの事実だ。
稲田元防衛大臣が女性であったことを持ち出すと、問題視されるかもしれないが、稲田さんの場合は女性であることが、不適格に働いたのではと観測する。女性でもリーダーに向いている人は居るし、ジャンヌダルクのように士気を高める女性も居るので、女性だから務まらないわけではない。
性差別をするつもりはないが、女性的であったために、指揮官としての信頼を得られず首相の寵愛もとい信頼を受けたなどと書けば、非難されるだろうか。まあ、しかし、踏み込んで問題を明らかにしようとすれば、見逃せない要素だと思う。