九州に未曾有の豪雨で被害が出ており、何とも痛ましくお気の毒なこどだ。無事であることが申し訳ないような、随分と幸運のような、気持ちがする。
当地に雨はなく雲間に青空も覗いている。蒸し暑い空気の中を駅まで歩いたのだが、途中、様々な音や匂いに普段気が付かない世界の広がりを感じた。朝餉の匂い、茶碗を洗う音、花の匂い、水の流れる音、車が通り過ぎる音、草いきれか夏らしい植物のむせるような匂い。おそらく何百キロ彼方の気温湿度気圧の変化がここまで何かの影響を及ぼして、音や匂いがいつもより遠くまで伝わっていたようだった。
動物や植物は人間よりももっと敏感に音や匂いを感じ取り、それで世界を感知しているはずだ。何を勘違いしたかアスファルトの上を見慣れない虫が歩いていた。迷彩色で分かりにくいが、鳥の餌になりそうで危ないと思ったのだが、鳥的には旨そうには見えない風体?ではあった。犬や猫はまだしも、虫が一体何を考えているのか、どういうつもりかまでは分からない。木の幹ではないが、自分の迷彩色に会うと思って移動してきたのだろうか。音もなくゆっくりと歩いていた。こんな所に餌はないし、雄か雌か知らないが相方に会うチャンスもないとアドバイスをしておいた。