今日から七月とは驚いた。軽んじたつもりは毛頭ないけれども、光陰矢の如し。学が成らないのは、そうした才能はないので諒としても、遊の方はもう一花と思ったりする。
出版社の小冊子を見ていたら、原田マハという人が「いちまいの絵」という本をまとめたと出ていた。生きているうちに見るべき名画などというキャプションが付いている。読んでみたくなるようにという出版社のまじないらしい。
二十年ほど前、何がきっかけだったか何の因果か、洲之内徹の気まぐれ美術館を読んで、あんまり好きにはなれないのに気に入ったというかのめり込み、立て続けに何冊もの絵画の評論というか個人的な物語というかを読んで影響を受けた。絵を見る目を開かれたように思っている、違う違うと言われる人もおられそうだが、絵に目が向いた。子供の頃、絵を描くのが好きだったのを思い出し、五十を過ぎて絵筆を持つきっかけにもなった。
果たして原田マハさんにどれほどの絵画鑑賞力があるか分からない。失礼かもしれんが、読む前から須之内ほどのインパクトはなかろうという気もしている。原田マハというのも何だかはだかのとも聞こえて困る名前だ。意識してそう付けたのだろうか。この世界には須之内の他に若桑みどりのような快女も居る。果たして怪物に伍して、新たな一石になっているだろうか。などとつべこべ書きながら、結局、買って読むことになるだろう。