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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

ICT医療活用に壁

2014年02月15日 | 医療

                                          

 ITの上を行くICT(information communication technology)を医療分野で活用しようというプロジェクトがある。安倍内閣の肝煎りだそうだ。全国の何カ所かで試験運用が始まっているようだが、比較的うまくいっているのは元々医療コミュニティが小さく同窓生の多い地域(中央から遠隔の地方)だけで、総合病院が数多い出身医局の入り乱れる人口密度(病医院密度)の高いところではタキシングが続き離陸は先のことのようだ。

 普及の壁になっているものに個人情報保護法、医療情報選別の困難さ、ICTの費用負担・・がある。そもそも使って便利とか勉強になるとかのメリットがなければ費用を負担してまで医療ICTを維持しようとする医師は一部の信奉者に限られてしまう。

 ただでさえ書類書きに追われている身には、患者に利用許可の同意を取り、IDとPWに悩まされながら回戦を繋ぎ、情報を探し出して、意見交換をする時間的余裕はない。回線上だけの見知らぬ医師とのやり取りは気を遣い疲れる。開業医の記録は不要、データーだけ呉れという大病院の医師も先生も居られるようだ。言いたいことはわかる、情報量が増えても冗語では時間を取られるばかりだということだろう。

 政府は机上で理想の計画を建てて、費用の嵩むICT産業に予算を付けるが、継続的な実態を知った正確な評価が欠けているのではないか。十年前医院と病院を繋ぐ、ネットワーク構築に五千万の予算を呉れたが、高々十数件の医院とたった一つの病院を繋いだ実験の成功で終了し、その時のネットワークは跡形もなくなくなり、地域の某社が潤っただけだった。役所はその時のノウハウが一部残って、次の計画の時に生かされると主張されると思うが、一般の感覚では費用対効果は妥当とは思えない。

 医師を利益誘導で動かそうとする厚労省が、効率とや利潤のインセンティブのないICT活用に医師が動くと思っているのだろうか?。確かに右へ並ぶのが好きな日本人ではあるが、返って手間を取るようなシステムでは普及しないと思う。まさかICT加算などで普及させるんではないだろうな。診療点数を削って、ICT加算をするのは本末転倒。

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