その方はそんなに遠くはない所に住んでらして折に触れ気になる方である。草花を愛する優しい人となりのせいもあるが、早期発見の腫瘍を切除したとかって本人から聞かされたせいもある。
行きつけの図書館の道すがら、生垣越しに麦藁帽子を被り終日シャベルを手にして庭の手入中の彼女を見かけていた。昨年、秋の庭を見せてもらうべくチャイムを鳴らしたが返事がない。いつでも中に行って見て下さいと言われており、入ってみたら何時になく庭の手入れが届いておらずハッとした。しばらくたって再度訪ねると娘さんに母親は出ていて不在と告げられ、庭も放置状態でそれ以上は聞けなかった。
今春恐るおそるチャイムを鳴らした。玄関のドアが開きニコッと例の微笑を浮かべ出てこられた。自分は変わりないがお兄様が肺疾患で、手術の甲斐もなく早々に亡くなった。手術を受けない方が良かったのかと転院まで勧めた自分が悔やまれてと話された。彼女の健康に安堵しつつも複雑な思いだった。安堵の余り手入れされたであろう春爛漫の庭を見せてもらうのを失念した。あれから半年、近く秋の草花を見せてもらいに立ち寄ろう。(写真は公園で)