脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

高齢者の自動車事故は前頭機能低下が原因

2024年06月11日 | エイジングライフ研究所から
高齢者による自動車事故のニュースが度々報じられています。今までブログにたびたび書いてあるように、高齢者の自動車事故の原因としては前頭葉機能低下が最も考えられるところです。突然の脳卒中発作や心臓病なども皆無ではないでしょうが、その確率よりも問題にすべきは前頭葉の機能低下です。(一番上の記事が直近で2022年。一番下の記事は2008年のものです)






最近の花を紹介します。
ブーゲンビリアの花

ブーゲンビリアの全体像

テレビの声が飛び込んできました。最近多発している高齢者による運転事故を受けての特集のようでした。羽鳥慎一モーニングショー6/11。
お話をしているのは自動車教習所の指導員歴35年の方。3万人以上に免許更新や安全教習をなさったとのことです。
おもしろいほど、小ボケの人たち(前頭葉機能には支障が起きているが、世の中で一般的に行われる認知検査には合格する脳機能レベルの人たち)が運転するときの特徴を言い当てています。
高齢者の免許更新については、警察庁のHPの中に解説図があります。

75歳以上の高齢者の免許更新については、この改正された制度で自分が受けてみて感じたことを書いてあります。
免許更新時の認知機能検査(75歳以上)の問題点
ここに書いたように検査そのものが的外れであるうえに、実に簡単にクリアできるような採点方法になっています。さらに上図をよく見るとわかるように、この検査はできるだけ合格させる方向で組み立てられています。この簡単すぎる認知機能検査で「認知症のおそれあり」に該当した高齢者でも医師によって「認知症でない」とされたら、免許更新の道は残っています。
最近の高齢者の事故では「認知機能検査には合格していた」と付け加えられることが多いですよね。検査そのものが安全運転の基準を満たしていないということでしょう!
(続)高齢者の危険運転の後半を読んでください。今のように完成された認知症だけを認知症と診断していたら、そのドクターが糾弾されることになる可能性があります。このアプローチも大切かもわかりません。
ベニガクアジサイ

実車指導、運転適性検査、講義の三本立てで免許更新はできるのですが、一番免許更新の可否にかかわりそうなのは実車指導ですね。実車「指導」であって、車を運転させてその人の運転能力の合否を決めるわけではなく、ただ乗るだけ…つまりどんな運転をしても全員合格です。
テマリテマリ

この実車指導時のエピソードがおもしろい。(実車指導時は指導員のかたと免許更新希望者は複数名乗ります)
一時停止を無視。
「しっかりと待ってください」と指導。
「あそこで停まっても周りが見えず、停止線の位置がおかしい」

左折時、対向車線に出る。
小回りするように注意。
「いつもの車と違うからうまくできないだけ」

同時乗車している免許更新希望者の実車指導後
「運転が怖かった。カーブのスピードが速すぎ。交差点でふらつく。一時停止無視」などと正しい感想を言う。
自身も同様の運転をするので指摘する。
他人事。
ウズ

もう一つのエピソードは認知機能検査の時のことでした。
テスト実施について解説するときに、適切なタイミングでうなづきながら聞いているので理解していると思って、開始の合図をすると
きょとんとして「何をするんですか」という。
この指導員の方が感じる「これはなにが起きてるのか!」という違和感がとてももよく伝わってきました。
名前不明の色が魅力的なアジサイ

小ボケの方の家族が、症状を説明するときに
「何かしゃべるとおかしくない。それどころかもっともだというようなことも言えるんです。でも…やってることはどこか前のおじいさんorおばあさんと違うというか、前ならしなかったようなことをしたり、絶対するはずのことをしなかったり…」といいながら、同時に「この違和感はわかってもらえなさそう」というアピールを感じることはよくあります。
そのようなときには、日常生活の具体的なシーンのことを聞きます。
着衣、食事(作法も炊事も)、入浴、トイレ、掃除、片付け…その時「車の運転で最近気がかりなことはありませんか?」と質問すると、家族はとても具体的に訴え始めるのです。
車を運転するには、前頭葉機能のうち、最も早期に低下し始める注意集中・分配力が必須です。家族にはその変化がわかりやすいのでしょう。
多肉植物(紅輝殿?)の花

「流れに乗れなくて、マイペースで走るのでスピードが遅すぎて怖い」
「慣れた道なのに、どこを走っているのか、わからなくなってる時がある」
「ブレーキをかけるタイミングが変わって危ない思いをよくする」
「フラッシャーが遅い」
「左や右に寄りすぎる」
「半ドアのことが多い」
「駐車場で車をたびたび探す」
「ぶつけた時に、ブレーキをかけた後にそのまま進んで傷を大きくしてしまう」
「自宅の駐車場でたびたびぶつける」
「事故を起こしたときに対応ができない」
ヒペリカムの花と実




先の指導員の方は続けて
「免許更新の時ぎりぎりで合格している。運転技術が危うい高齢者がいる」というふうに言われました。そういう高齢者もいるし、指導員として厳しくみても合格!といえる高齢者もいるということですよね。もちろんその間も。
ぎりぎり合格者のぎりぎりを生み出すものが前頭葉機能がうまく機能していない結果だとは思われてないような。それこそが認知症の早期状態とは思われてないような。
世の中の趨勢というか権威ある方々はこのレベルを認知症の始まりと思っていないのですから、致し方ないのかもしれません。でも、ここまで気が付いているのですからかなり残念なことだと思いました。



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