新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

約1年ぶりの関西旅行記 #2-2

2021-11-29 17:08:42 | 旅行記

「約1年ぶりの関西旅行記 #2-1」のつづきです。

まずは「#2-1」の最後に思わせぶりに書いた住吉大社の本殿4棟のうち、第一~三本宮と第四本宮との違いから。

正解(?)は、屋根からV字型に突き出した「千木(ちぎ)」です。

住吉三神をお祀りする第一~三本宮千木は先端を地面と垂直に切った「外削ぎ(そとそぎ)」なのに対して、神功皇后をお祀りする第四本宮だけ先端を地面と水平に切った「内削ぎ(うちそぎ)」の千木を戴いています。

なぜこういう組み合わせなのでしょうか?
「男神を祀る場合は外削ぎ、女神を祀る場合は内削ぎ」という説もあろうかと思いますが、Wikipediaでは「全くの俗説である」バッサリ説が紹介されています。

確かに、内宮は内削ぎ外宮は外削ぎと対照的な伊勢神宮(訪問記)内宮(皇大神宮)も外宮(豊受大神宮)もお祀りするのはどちらも女神だし、大嘗宮悠紀殿(内削ぎ)主基殿(外削ぎ)(見聞録)はどちらも特定の神様をお祀りするものではありません
ま、

なお、祭神による千木の形の区別については、神社本庁の公式見解では「必ずしもそうとは限りません」と控えめに言うに留めている。 (Wikipedia)

と受け止めましょう

   

住吉大社のHPに載っている「年間参拝者予測」によれば、どの寺社も同じだと思うのですが、初もうで1月最多なのは当然としても、11月単独2なんですねぇ。住吉祭のある7月ごく普通の人出なのに…

七五三があるからなんだろうけど、私自身、七五三のお参りに行った記憶が皆無なだけに、それほど「七五三」需要があるとは、ちょっと信じがたい気がします。

でも、実際に、この日の住吉大社は、土曜日ということもあってか、着飾った子どもを連れた参拝者で賑わっていました

と、その人混みを縫って、時代がかった姿の一団がやってきました

毛槍を伴った「奴さん」です
この後ろから大名行列がやってくるのかも との期待しましたが、、、、でした

ところで、大名行列の先頭を飾る「奴さん」たちは、どうして決まって「釘抜紋」なのでしょうか?
調べると、この奴さんの釘抜き紋「冷や奴」の語源になっている話はネット上に溢れていますが、肝心の「なぜ奴さんは釘抜紋?」の答えがなかなか見つかりません
いつも頼りにしているWikipediaも、

奴は、大きな四角形を染めた半纏を着ていることが多かった。この紋所は、「釘抜紋」と呼ばれる。

と素っ気ない
こちら「釘抜紋」の説明(出典:精選版 日本国語大辞典)には、

多く、中間、奴などのはっぴ、半纏などに用いた。

とありますから、この場合の「釘抜紋」家紋ではなく、職能を表すシンボルマークだったということでしょうか?
話の逸れついでに、「奴」についてWikipedia では、

武家に働く者の中でも低い身分にあたり、「中間(ちゅうげん)」「折助(おりすけ)」と呼ばれていた武家奉公人を、蔑むときの呼び名である。

と説明されています。
「中間」で思い出すのは「義母と娘のブルース」(2022年謹賀新春スペシャル楽しみ)のこのシーン。

麦田店長が作ったアルバイト募集チラシに書かれた「来たれ! 熱き中間(仲間) ブアイソウ(歩合給)あり!」「中間」に歴史好きの亜希子さんが敏感に反応していましたっけ…
この「参考映像」中間釘抜紋の袢纏を着てる

   

話を住吉大社に戻しましょう。

住吉大社の社殿は、「住吉造」と呼ばれる独特な形式です。
こちらのサイトによると、

住吉造は、直線構造で、切妻造妻入り(中央入口)で、内部構造は前後ニ室に分かれている。
これは、大鳥造と同じだが、奥行きが大鳥造の倍(四間)である。
細部は簡素だが、柱は朱壁は白に塗られている。
本殿の全体的な形は大嘗宮の悠起殿・主基殿に類似しているらしい。

とな。

極めて直線的で、屋根シュッとしています。
一方、直線的なイメージのある神明造伊勢神宮はどうかといいますと、

屋根の垂木は直線ですが、上部と下部とで萱葺の厚さが違って、微妙なカーブを描いています。

次に「類似しているらしい」と書かれた大嘗宮悠紀殿・主基殿はといいますと、一昨年11月の写真を取り出しまして…、

令和の大嘗宮は、経費節減の観点から、屋根は伝統的な萱葺ではなく板張りで建てられたそうですが、わずか1夜の神事のために建てられるパビリオンみたいなものですから、萱葺薄く葺かれたのでしょう。
それはさておき、直線的でシンプルな作りは、確かに住吉大社本殿と似ていますが、プロポーションかなり違う気がします。というか、かなりデカい
素人目には、直線的な切妻屋根妻入りという共通点しか判らないのですけど…

でもまぁ、神社建築の様式としては必ず挙げられる「住吉造」の現物を拝見し、また、なんとも珍しい本殿4棟の並びを拝見できたことで、私は満足したのでありました。

つづき:2021/12/04 約1年ぶりの関西旅行記 #2-3

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