新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

2018年の美術館・博物館めぐりの振り返り

2018-12-30 13:52:36 | 美術館・博物館・アート

毎年12月30日「お約束」になっている「美術館・博物館めぐり」の振り返りです。

去年(記事はこちら)は、

例年ならTOP 3に入ってもおかしくないような展覧会がTOP 10どまりだったり、TOP 10に入ってよかった展覧会が選外になったりしています。

豊作だったのに比べると、今年はちぃと低調だった気がします。

ということで、まずは、すんなり選出した今年のTOP 3 
いつものように、次点 も含め、各集団内は順不同です。

版画の景色-現代版画センターの軌跡  @埼玉県立近代美術館(MOMAS) [記事]

アート作品オリジナルを所有するということは、よほどの富豪数寄者なければ無理…と思いがちですが、版画なら話は別。
浮世絵版画は、今では美術館薄暗い空間にひっそりと展示され、とある美術館やコレクションでは劣化防止を理由に他館への貸し出し禁止はもちろん、館内でも一般公開されていなかったりもしますが(例えばこちらの記事で書いたスポルディング・コレクションとか…)、江戸時代には普通にマチナカで販売されて(下の写真は江戸博で再現された浮世絵屋さんの店頭)、一般庶民がそれを買って、手に持って愛でていた(浮世絵版画は壁に掛けて見るのではなく、手に取って観ることが想定されている、なんてことを聞いたことがあります)わけで…。それほど庶民に身近ありふれたものだったから、明治初年に陶磁器輸出される際に、浮世絵版画が現在の新聞紙のように緩衝材として使われてしまったのでしょう。

そんなかつては庶民に身近だった版画(オリジナル)を広く頒布しようしたのが現代版画センターの活動で、その「軌跡」圧倒的ボリュームで回顧したこの展覧会は、その志の高さだけでなく、「版画」の範疇の広さ作家さんの顔ぶれ、そして作品の素晴らしさ、それらすべてが心に浸みました

70年万博収集資料 @国立民族学博物館(みんぱく) [記事]

その内部が48年ぶりに一般公開された太陽の塔岡本太郎の発案で、太陽の塔の下に「人類の原点」を示すということになり、20名の研究者が「6000万円の資金と1年間の時間を使い、47の国や地域を訪れて、2500点あまりの資料を収集した」のだとか。
そして、収集された民族資料は、万博の期間中太陽の塔の下で展示されたのち、みんぱくに寄贈されて現在に至るという次第。

この民族資料収集活動の記録と、そのときに収集されたコレクションを展示するというこの特別展は、みんぱく原点をお見せしましょうということになるわけで、まさしく「国立民族学博物館 開館40周年記念」にふさわしい展覧会だったと思います。
そして、それだけに、展示品だけでなくキャプション充実していて、ホント、面白かった

縄文―1万年の美の鼓動 @東京国立博物館(トーハク)

ふり返ってみれば、この展覧会を観てきた話をブログには書いておりませんでしたが、縄文好きの私にはたまらない展覧会でした。

この展覧会での私のお目当ては、国宝土偶 5体との再会で、それはそれで楽しかったのですが、私が思わずうわぁ~(小声で)うめいてしまったのは、大量の火焔形土器ど~んと展示されていたコーナーでした。
ガラスケース無しで、展示台の上にズラリと並んでそれぞれの個性主張し合う火焔型土器たち…。燃え上がるようなその造形と、それを煽るような照明…。
いやぁ~良かった

それにしても、縄文時代といえば、約1万5,000年前から約2,300年前もの大昔で、そんな生きるだけでカツカツだったと思われるような時代に、実用性を無視したかのような造形装飾を土器に施した縄文人美意識たるや、仕事に追われて余裕をなくしている人たちの多い現代人よりもよほど精神性豊かだっていたのではなかろうかと思ったりもしました。

   

次は「次点」の展覧会・博物館です。

アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝 @トーハク
浦沢直樹展 描いて描いて描きまくる!-埼玉の巻- @MOMAS
野口哲哉 ~中世より愛をこめて~ FROM MEDIEVAL WITH LOVE
                                                                   
@POLA MUSEUM ANNEX

まるごと ひろしま美術館展2018 @ひろしま美術館
竹中大工道具館
うつわ ドラマチック展 @岩手県立美術館
天文学と印刷 @印刷博物館

 このうち、さほど期待せずに見始めたのに、拾いモノ的に面白かったのが、「アラビアの道」「うつわ ドラマチック展」でした。

「アラビアの道」のことは「私はアラビアのことを何も知らなかった」で書きましたし、「うつわ ドラマチック展」のことは、今書きかけ「冬本番が始まったばかりの東北旅行記 #6」で取り上げる予定ですので、そちらをお楽しみに
ただ、萬鐵五郎・松本竣介・舟越保武コレクションをお目当てに出かけた岩手県立美術館ついでに観たら、あれまぁ~「目ウロコ」でございました。

   

最後は、「もう一息でTOP 10」だった展覧会・博物館を挙げます。

小村雪岱 「雪岱調」のできるまで @川越市立美術館
仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝- @トーハク
江戸から明治の技術革新 @お札と切手の博物館
ビーマイベイビー Mitsuo Shindo Retrospective @世田谷文学館
現代日本のパッケージ2018 @印刷博物館

一応、「TOP 10 + α」を選び出したのだけれど、やはり物足りなさを感じる今年の美術館・博物館めぐりだったような気がしてなりません。

来年はどうだろうねぇ…

あ、そうだ

大評判フェルメール展は、その混雑&行列を聞いた段階で萎えております。私の場合、よほどの興味を持っていない限り、待ち時間30分以上行列に並ぼうとは思えないのですよ

コメント
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