創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

型起こし

2009年06月05日 | 日記

梅雨入り前なのか、
すっきりとしない天候が続いている昨日、今日。
小雨がパラつき、心もち湿気も多く感じる。

このような日は型起こしの作業をするには最適。
今日の日記は、型起こし作業の紹介を兼ねて日記を書いてみた。

Photo

     ロクロ成形した皿


工房が狭いため、作った皿をのせた板を工房のいたるところに置いた。
乾燥すると型起こしが出来なくなるため、すぐにナイロンなどで覆った。

型起こしの作品は、簡単そうに見えるが、実は二重手間がかかっている作品である。
ロクロで皿をつくり、それを型にかぶせて文様を浮かび上がらせる作業が必要なのだ。

この作業を行う前には、自分が何を求めているかを計算しなくてはならない。
大皿を作るか、中皿、小皿にするかを決め、決まったところで原形の皿をロクロで作り、
仕上がった状態を想定して、原形の皿をキッチリと削りだしていく、その作業をしなくてはならない。
そうして出来上がった型がこれ。 昨秋に作ったものである。

Photo_2

   皿の型


先にロクロで作り上げた皿を、キッチリと型にかぶせていく。
この時、ロクロで作る皿は心もち大きく作る必要がある。
もちろん削ったところが文様となって浮かび上がる作品なので、仕上げでは手を加えられない。
そのため、ロクロ成形時にはかなり薄く作っておかなくてはならない。

今回の皿、清潔な感じと品格を持たせるため、タップリと白磁釉薬を施す予定である。
文様部分に少しばかり青味がかった白磁釉薬が掛かると、きっと品良く焼きあがるに違いない。
そう信じて作り上げた皿をかぶせる作業を行った。

Photo_3

   型に皿をかぶせる


さて、これからが少々厄介な、というか面倒な作業を行わなくてはならない。
型にかぶせた皿、これをシッカリと型に押さえ込んでいかなくてはならない。
目の細かい布をその上にかぶせ、型から皿がずれないように丁寧に押さえ込んでいく。

この時に使用する布の粗さで、また別の文様が布地から出てくる。
今回は布地の面白さより、掘り込みの文様を重視した作品なので細かい布地を使用した。

Photo_4

   押さえた皿


全体を布で包み、くぼんだ文様のところに粘土がシッカリと入るよう、指でなぞっていく。
この時の力の入れ具合を均等にするよう、注意を怠ることなく作業を進めていく。
文様全体に粘土が食い込んだことを確認して、かぶせてあった布を取り外す。

その後すぐに高台つくりを行わなくてはならない。
高台が計算どおりの位置に出来た時点でつぎの作業へ。
ロクロをユックリと回し、口周り(ふち)の余分な粘土を切り取っていく。

Photo_5

   型から外した皿


一応、ここまでの作業を順調に進めて型起こしは終了。
平らな板の上に型から外した、出来上がったばかりの線文皿。
急激に乾くのを防ぎ、数日後の仕上げ作業まで半乾きになるよう細心の注意を払い、
粘土の乾き具合を怠らずに続け、そして高台の仕上げを行う。

高台の中の厚さが数ミリ単位で切れてしまうことがあるので、
最後まで気を抜けない作業である、と同時に口周りも滑らかに仕上げていく。
そして自然乾燥を経て、ようやく型起こし作品の出来上がり。

あとは素焼きを行い、白磁釉薬を施して本窯焼成を行う。
余談だが、前々から窯の状態が思わしくなく、いろいろ試みてはいたものの、
これ以上どうする術もなく、昨日専門の方に来てもらい、バーナーの掃除をしてもらった。
とりあえずの処置を行ったが、どのような結果がでるかは窯焚きをしてみないと分からない。

ホームページの、工房の中でも型起こし作業を紹介していますが、
ここ数日に行った、型起こしの皿作りを紹介いたしました。


コメント
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