自家菜園の作物は不思議なもので、春を迎えると同時に急に野菜が無くなり、
それを境に夏野菜の苗などを一斉に植える、畑ではそのような光景がついこの前まで見えた。
実家も、我が家の狭い畑でも夏野菜が次第に生長し始め、小さな実を付け始めている。
毎年のことだが、実家の畑ではこぼれたシソの種がそこいらじゅうに芽を出し、
苗を2本だけまとめて植えた。実家では誰もシソを食べるものが居なく、母が私用に植えてくれた。
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畑のシソ |
梅雨入りと同時に気温も高くなり、シソも急に大きく成長し始めてきた。
農薬も何も与えていないのに、立派に育ってきた青シソ、
「 カツオのたたき 」も店頭に出てきたことだし、タップリのシソ葉を使って酒の肴に添えてみた。
サッと洗って使ってもいいのだが、やはりアクが気になり細く短冊にきり、水にさらした。
アクが取れたところで絞り、ショウガの細切りを添えて完成。
調味料は、カツオに付いているダシは使わずに、自己流の三杯酢で頂く。
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やわらかく大きくなったシソ葉 |
盛り付けをし、酒は何がいいかと思案。
白ワインもいいけれど、カツオには日本酒が似合う。
そう思って、冷蔵庫で冷やしてあった大吟醸を呑むことにした。
梅雨だというのに、さほども雨が降らない今年の梅雨。
雨音を聞きつつ、盃を傾けるのもいいかと思っていたが、あてが外れた。
それでも獲れたてのカツオのたたきと、摘みたての青シソ、ショウガがうまい具合に調和して、
吟醸酒の旨いことと言ったらありゃしない。
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カツオのたたき |
特に大酒飲みではないが、美味しい酒の味だけはわかるから不思議。
カツオは当たり外れがあり、下手すると生臭い品を食することになりかねない。
こればかりは食べてみないと解らない。 ならばワインは生臭さを助長するので避けることにした。
思い切ってイタリアふうに、カルパッチョにすれば白ワインもピッタリくるだろう。
バルサミコ酢もバージンオリーブオイルも揃っている。 昨日収穫したばかりの玉ネギもドッサリある。
でもカツオと言えばやはりたたき。 今しばらくは日本風に調理して、
それにも飽きた頃には、前庭のハーブなど使ったカルパッチョも良かろう。
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金結晶ぐい呑み |
私の住んでいるところは田舎。 家の周りは田んぼ。
田植えも済み、減反の田に植えてあった麦の刈り取りも終えられ、
夜ともなれば物音も聞こえない。 あれほどうるさい程に鳴いていたカエルの声も聴こえない。
♪ 静かな しずかな 里の秋 ♪ ならぬ今は梅雨である。
じっと耳をそばだててみるけれど、外からの音が全く聴こえない。
いま文字を打ち込んでいる、パソコンの空調モーターの音が聴こえるだけである。
さあ、そろそろ日記も書き終えられそうだし、吟醸酒を味わおうとしよう。
マッタリとした、コクのある大吟醸。 少々辛口だが、青み魚のカツオにはピッタリ。
夕方摘んできたばかりの青シソ葉の香りと、ピリっとしたショウガ。
静かな空間の中、何も考えずボンヤリと過ごすのも良いだろう。