オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

ベームの「田園」交響曲

2009年05月21日 15時43分33秒 | 今日、聴いたCD
ベートーヴェン 交響曲第6番 ヘ長調 作品68「田園」

カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

(国内盤)Altus ALT026/027 1977年3月2日NHKホールでのライブ録音

フィギュアスケートの新しいシーズンまで、手持ちのベートーヴェンの交響曲の録音をじっくりと聴き直したいと思っていますが、前回のワルターの録音に続いて今回も「田園」を採り上げました。ベームとウィーンフィルには1971年ウィーンでのスタジオ録音(グラモフォン)があり、こちらも持っていて、スタジオ録音の方を採り上げるべきかもしれませんが今回は1977年の東京でのライブ録音にしました。
この前のムラヴィンスキーの記事で次のように書き込みました。

>大昔、大学生生活を送った東京での4年間の中での最高の思い出はベーム、バーンスタインそしてムラヴィンスキーの生の演奏を聴く事が出来たことです。たった1回ずつでしたが強烈だった。そして年月が経てば経つほど、記憶を薄れるどころか、彼らのステージは頭の中で蘇り、その演奏を聴く事の出来た事の意義の大きさを感じるばかりである。

今回の録音は私がたった1回しか生で聴いていないベームの演奏会当日のライブ録音である。自分自身が実際に聴いたコンサートのライブ録音を改めて聴き直し、そして記事にする。どうしても個人的感情が入るのはしかたないので記事にするのは躊躇しましたが、私自身の今での音楽体験の中で最高のものであり、避けて通れない。そして録音を客観的に聴いても「田園」交響曲の最高の演奏の一つであると思い、思い切って書き込んで行きます。

私がクラシック音楽を聴き始めたのは高校生の時ですが、その頃の音楽的環境は最悪で私の住む町のホールは、古い市民会館があるだけで、生でオーケストラを聴きたくても何年かに一度、思い出したようにNHK交響楽団が来る程度で海外のオケを生で聴くとなると「夢のまた夢」という状況でした。現在は立派のホールは2つもありキーロフ・バレエの公演を二度も地元で観ることが出来る時代が来るとは想像も出来ないことでした。
そんな環境でしたので東京での4年間、チャンスがあれば少しでも生のステージに接してみたいと強く思い、アルバイトで稼いだお金の多くはコンサートのチケット代になって行きました。
そんな時、まだ高校生だった1975年の来日公演の放送で演奏の面白さを教えてくれたベームとウィーンフィルが大学1年が終わろうとしている時1977年3月再び来日しました。購入できたチケットは1階の前から8番目のほぼど真ん中。巨大なNHKホールが会場だけにこの場所を確保出来たのは今も奇跡だと思っています。ただチケット代は1万3千円で当時としては破格の金額でバイト代がすぐに無くなってしまいました。
「田園」の第1楽章のあの有名な旋律を聴いたとたん私の体の力がふっと抜け座席からすべり落ちそうな気がして脚で踏ん張った事を今もはっきりと憶えています。あんな経験は、この1回きりです。あの「音色」は本当に何だったのだろう?確かに録音技術もどんどん向上してきましたが、あの音色は私の持っている再生装置では、まだ再現出来ていません。また会場が大きなNHKホールだけにホールの隅々まで私が聴くことが出来た音色が伝わったとは、とても思えません。
私にとってまさに、あの「音色」なのである。録音技術だけではどうにもならないもの、ウィーンフィルが長年培ってきたもの、守ってきたもの、晩年のベームの芸術、そして心の中。それらの無形なものが全て合わさって「田園」交響曲という作品の形となって、あの「音色」となったのであろうか?名演奏は本当にマイクに入るのだろうか?私がこれからもクラシック音楽を聴く時の永遠の課題かもしれません。
以上が私の思い出。

さて、この演奏を1枚のCDとして聴いてみました。どうしても意識的に客観的に聴いてみたつもりです。「美しさ」と「格調の高さ」の極みの演奏である。聴いてみて1971年のスタジオ録音よりこちらの方が好きです。第1楽章、第2楽章はウィーンフィルの魅力満載!そして第4楽章の「嵐」の迫力!最高の音楽が鳴っているような気がする。まさにライブ録音の面白さである。そして第5楽章。沈みゆく太陽が一瞬見せる輝き美しさと言うべきか!晩年のベームの心境が見事に出ている演奏といってよいでしょう。

なお当日のプログラムはオール・ベートーヴェン。前半は「田園」後半は5番。アンコールが「レオノーレ序曲第3番」でした。今回のCDには全プログラムが収録されていますが「田園」の演奏が飛び抜けて素晴らしい演奏だったと思います。

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5 コメント

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音色 (シフ)
2009-05-22 00:35:09
>私にとってまさに、あの「音色」なのである。録音技術だけではどうにもならないもの、ウィーンフィルが長年培ってきたもの、守ってきたもの、晩年のベームの芸術、そして心の中。それらの無形なものが全て合わさって「田園」交響曲という作品の形となって、あの「音色」となったのであろうか?名演奏は本当にマイクに入るのだろうか?私がこれからもクラシック音楽を聴く時の永遠の課題かもしれません。

そうなんですよ。音色!これは「生」でしか感得できないものだと思います。ホールの空気の振動の中にのみ存在する生の音色。おそらくライブ録音といえども、それに近いものは再現できても、それと同じものを再現するのは不可能だろうと思います。それはライブの存在意義への重要な一票ですね。

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生演奏の素晴らしさ (☆ゴールデン・ベリル☆)
2009-05-22 21:23:12
こんばんは。
そのCDは手元にありますが、まさかオペラファンさんが会場でお聴きになられた公演だったとは。ということで今、そのCDを聴きながら書いてます。
クラシック音楽における生演奏の感動って凄いですよね。
余りに美しく素晴らしいので、それが青春の、心の中の原風景として、心の中の至高の財産として記憶されてて、かつてのその感動を再現できる演奏やCDは何処かにないかと探し求める。

ところで、私の場合は、こともあろうに朝比奈隆さんのライヴ録音の機会に居合わせることができました。氏の指揮する生演奏を聴けた機会は合計3回でしたので、その中の1回がライヴ盤のCDとして発売されたのは夢のような大変な幸運でありました。ポニーキャニオンから出てるシューベルト、交響曲第9番「ザ・グレイト」、同曲のCDは複数ありますが、晩年の朝比奈さんと大阪フィルによる、愛知県での記念すべき第1回目の定期演奏会の模様が収録された盤のほうです。
1996年の、愛知県芸術劇場コンサートホールにおけるライヴ録音のCDのほうです。

終演後に、客席を万感の思いで見つめ、深々とお辞儀をされる、綺麗な白髪の朝比奈さんの姿を、つい昨日のことのように思い出します。
演奏は、永遠の青年を思わせる、瑞々しく、パワフルなものでした。
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音色そして生演奏の素晴らしさ (オペラファン)
2009-05-22 22:40:40
シフ様へ
ウィーン・フィルの演奏は本拠地のウィーンのムジークフェラインで聴くのが最高と言われていますが、私が聴けた演奏会の音色は、それに近い、又は匹敵するものだったと確信しています。
当日、大変なチケットの争奪戦の中、私があの席を確保できたのは単なる偶然ではなく、神様のご配慮だったと思っています。
神様が「お前が本当に音楽が好きなのなら、この座席で聴きなさい。ただし一生、音楽を愛するのが条件だよ」と言ってたような気がします。
ところで当時はベームの人気は物凄いものがありました。演奏会当日、会場でワーワー叫んでいた方々は今もベームの録音を聴いてくれているのだろうか?とよく思うことがあります。

☆ゴールデン・ベリル☆様へ
コメントを頂いて、ホッとしています。
さて当日のベームの演奏会はNHKのテレビでも放送され、最近DVDで発売されましたが、何故か購入していません。あの時の思い出を心の中でしっかりと持ち続けたいと思います。

朝比奈さんの愛知県での第1回の定期演奏会の曲目がベートーヴェンやブルックナーではなくシューベルトの9番だったとは意外です。あのスケールの大きい演奏を聴けたとはうらやましいです。
さて私が会場で聴けたライブ録音は一つだけです。1977年10月東京文化会館での大阪フィルを指揮したベートーヴェンの「英雄」です。レコードはビクターから発売されました。最近CDを予約しましたがまだ届いていません。この日の演奏会も今、思うと神様のご配慮があったのではと思う事があります。詳しいことはCDが届いて、きちんと聴いてから書き込むつもりです。




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ベームの田園 (ハルくん)
2009-05-23 21:03:34
こんばんは。

「田園」はやはりワルターとベームが一番好きですね。そして録音に恵まれているのはベームの方です。ベームには丁度この頃にザルツブルクでウイーンフィルを振った演奏がおそらく一番良かったような気がします。しかしこのNHKでの演奏もそれと同レベルの素晴らしいものだと思います。私は生演奏で聴けなかったのが残念です。DVDも観ていますが、音楽そのものを楽しむにはむしろCDの方が優れていると思うのですが。
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ベームの田園 (オペラファン)
2009-05-23 21:13:36
私も「田園」の録音はワルター指揮コロンビア交響楽団とベーム指揮ウィーンフィルの東京でのライブが双璧だと思います。なおベームとウィーンフィルの録音では1971年のスタジオ録音もあり、こちらも忘れがたいものがありますがライブの魅力には勝てません。
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