「どこへ行くんです?」
「とにかく行こうと言ったのは鴫田(しぎた)、お前じゃないかっ!」
「あっ! でした…」
鴫田は頷き、身を縮めた。
「だろっ! まあ、いい。民家が見えるところまで行こう。そこで訊(き)けば、何か分かるだろう…」
「はい…」
覆面パトは青梅市を抜け、ひた走った。ただ、走ってはいるものの、行く宛のない放浪車だった。^^
「代り映えしない景色ですね…」
「それにしても青梅街道は続くな…」
「ええ、青梅街道ですから…」
覆面パト内の二人の会話は続いた。
「…口さん、疲れないですか?」
「馬鹿野郎! もう十分、疲れてる…」
「だったら、そこいらで変わりましょうか?」
鴫田は暗に、運転の交代を促した。
「ああ、そうしてくれるか…。少し目が疲れた…」
口橋は否定しなかった。なんだ、ほんとに疲れてんのか、この親父…と、鴫田は口橋の老化を感じた。そして、俺は若いぞ…と、口橋を横目で見ながら意味不明な優越感を感じた。^^
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